News 2003年4月16日 12:32 PM 更新

記録型DVDは「全規格対応」ドライブで決まりか(1/2)

記録型DVDは各社からデュアル対応が登場。そして、日立LGが“ウワサの全部入り”を発表した。こうしたアプローチは今後主流になるのか。また、動作検証の難しさやライセンス料などの課題はクリアされるのだろうか。日立LGにその戦略や見通しを聞いた

 日立LGデータストレージ(以下、日立LG)が4月1日に発表した「GSA-4040B」は、世界初の“全規格対応”ドライブだ。DVDフォーラムのDVD Multi(DVD-R/-RW/-RAM)に加え、DVD+RWアライアンスのDVD+R/+RW、そしてCD-R/CD-RWの記録再生に対応している。さらに、DVD-RAMの3倍速記録に対応したドライブとしても世界初である。

 注目すべき点が非常に多いこのドライブについて、開発した日立LGに製品のコンセプトや出荷予定などについて、話をうかがった。

ドライブ側で「事実上のフォーマット統一」を

 「記録型DVDはたくさんのフォーマットがあって、一番困っているのはお客さんです。でも、これだけさまざまなフォーマットが広まってしまうと、一つの規格にまとめるのは難しい。それならば、われわれの持っている技術を武器にして、全フォーマット対応のドライブを作ることが現時点では正しい選択だと考えたんです。いわばドライブ側からの“事実上のフォーマット統一”ですね」。

 経営戦略Team主任技師の西村勇三氏は、GSA-4040B開発の経緯をこのように語る。日立LGと言えば、昨年、世界初のDVD Multiドライブ「GMA-4020B」を発売して、一躍注目を浴びたことは記憶に新しい。


日立LGデータストレージ 経営戦略Team主任技師の西村勇三氏

 「現行のDVD Multiドライブ(GMA-4020B)はDVD-Rの書き込みが2倍速ですが、4倍速に対応したドライブが増えてきた現在でもそれなりに売れ続けています。この市場のリアクションから、われわれの方向性は正しかったのだと、ますます自信を深めました」(西村氏)。

 そのDVD MultiがなぜDVD+RやDVD+RWを採用することになったのか? それは需要があるからに他ならない。すでに記録型DVDは、国内よりも海外市場の方がずっと大きくなっている。国内市場では明らかにマイナス陣営のDVD-R/-RW/-RAMが優勢だが、海外市場に目を向けてみるとプラス陣営、すなわちDVD+RやDVD+RWの需要がかなりあるというわけだ。

 「確かに、海外ではデュアルドライブ(DVD-R/-RW/+R/+RW)がヒットしていることもあって、プラス陣営の勢いは感じます。おおざっぱに言えば、マーケット的にはマイナスオンリードライブよりは、デュアルドライブに向かっていると言うことでしょう」(西村氏)。

 なぜデュアルドライブに向かうのか? 西村氏によれば、そこには海外市場ならではの事情も働いているという。

 「海外のお客さんは、プラスやマイナスといったメディアの違いを、ほとんど認識していません。異なる種類のメディアがあることすら知らないことが多いんです」(西村氏)。

 そして西村氏はこう付け加える。

 「私たちは現行のDVD Multiでも十分だと思っていましたが、それでも使えないメディア(DVD+RやDVD+RW)があることによって、お客さんは(ドライブやメディアを)購入する前にためらってしまう。それなら思い切ってプラスのメディアにも対応した方がいいのではないかと考えました」。

 ご存じのように記録型DVDはさまざまなフォーマットがあるため、「メディアを買ってきたのにドライブで使えない」ということが起こりうる。それは日本でも問題だが、ユーザのほとんどがメディアの違いを認識していない海外ではより大きな問題になっている。だからこそ「何でも使える」デュアルドライブや、“全規格対応”ドライブが求められているというわけだ。

スケールメリットで価格を抑える

 改めて言うまでもなく、ユーザー側からすれば全規格対応ドライブは便利な製品だ。これまでのドライブでは、使えないメディアがある以上、ドライブ購入前に自分の用途を考え、利用すべきメディアを決めておく必要があった。だがドライブが全てのメディアに対応しているならば、ドライブ購入後にじっくりと利用すべきメディアを決めればいい。

 半面、ドライブ側の負担は確実に増える。対応するメディアが増えればライセンス料も付加されるし、ドライブの開発費や検証作業にかかる費用も馬鹿にならないはずだ。それらのコストがドライブの販売価格に上乗せされて高価になってしまうことはないのだろうか?

[浜野高正, ITmedia]

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