News 2003年4月25日 09:43 PM 更新

ASUSマザーの最新テクノロジーはどうなってる?

4月26、27日に開催される「ASUSテクニカルフォーラム2003」。そこで紹介される同社のマザーボードの最新技術や技術力の背景を、25日に行われたプレス向けセミナーから一足先に紹介しよう

 ASUSTeK COMPUTER(ASUSTeK)は、4月26、27日にユーザーを対象にしたセミナーイベント「ASUSテクニカルフォーラム 2003」を秋葉原ダイドーホールで開催する。25日にはそれに先立ち、プレス向けレクチャーが行われた。

 このプログラムでは、ASUSTeKの主要製品であるマザーボードに組み込まれた新機能や、そのパフォーマンスや信頼性の向上に関する具体的な解説が行われた。

 マザーボードの新機能として紹介されたのは、先週発売された、P4C800/800 Deluxeの「AI Series」に組み込まれたもの。「AI Audio」「AI Net」「AI Overclocking」「AI BIOS」の4つの機能で構成されている。

 AI Audioは、サウンド系端子に正しい機器が接続されているか、診断して通知してくれる機能。プラグが接続されるとイベントを探知して、画面に接続があったことをポップアップする。ユーザーが接続した機器の種類を入力すると、端子と接続機器の整合性を診断し、間違っている場合は正しい端子の位置を知らせてくれる。


AI Audioの画面。接続した機器が間違った場所に差さっている場合は、正しい場所がイラストで指示される

AI NetはPCとHubの間のLANケーブルで物理的な切断が発生したときに、切断発生の警告と、戻ってくるパケットの状態から割り出した「PCから切断個所までの推定距離」を表示する。有効距離は100メートルまでで、Hubから先のトラブルには対応していない。

 AI BIOSは、これまでもASUSTekがサポートしてきた、BIOS保護、CPUファンコントロール、システムエラーステータス表示の各機能を統合したもの。「CrashFree BIOS 2」「Q-Fan」「POST Reporter」の3つのユーティリティで構成されている。

 ユニークなのが、AI Overclocking。ユーザーが望むパフォーマンスアップ率を指定すると、マザーボードに搭載されているCPUとメモリモジュールで、指定されたパフォーマンスアップを可能にするセッティングを行うもの。パフォーマンスのアップ率は5〜30%の間で指定できる。

 ASUSTeKの説明では、FSBクロックや駆動電圧、メモリレイテンシなど、ユーザーがアクセスできる項目を設定するとしているが、設定された具体的な値をユーザーが確認することはできない。

 これについて、ASUSTeKは「この機能は、チューニングをASUSTeKの技術者にお任せするモードだと考えてほしい」と述べている。もちろん、ユーザーがパラメータを設定するモードも従来どおり残っている。「細かい作業をしてチューニングしていく場合、ユーザーが自分で設定したほうがパフォーマンスが上がる可能性がある」(ASUSTeK)ので、経験豊かなユーザーは従来どおりの方法でオーバークロックに挑戦したほうがいいようだ。


AI OverClockingはBIOSから実行する。AI OverclockingでManualを選択すると、設定項目をユーザーが自分で各項目を細かく設定していく。これまでのオーバークロックと同じ方法だ


AI OverClockingでは、パフォーマンスアップ率を指定できる。standardはすべてが定格動作の状態。「いきなり30%ではなく、5%からはじめて、徐々に上げていってほしい」(同社)。30%を設定した場合でも「30%性能が向上する設定を、必ず動作する範囲で行う」という意味ではない


AI OverClockingが有効になると、設定項目がほとんど表示されなくなる。「ユーザーが設定しないから必要ないでしょう」という事情以外に「ほかのベンダーに真似されるから」(ASUSTeK)という理由もあるらしい

 開発担当者が解説した、性能/信頼性の向上技術に関する解説では、信号品質の向上させるための基本理論や、ASUSteKが行っている信頼性テストの方法などが紹介された。


4層基板の内部構造。ASUSTeKが使用する銅線層の厚さは1.35mil(1mil=0.001インチ)または0.7mil。中央の心材はグラスファイバーで厚さは31、39、47milから選ばれる


CPU、ノースブリッジ、DIMMスロットの位置関係にも信号品質の向上が関係している。例えばノースブリッジを45度回転させている理由は、CPU側は(画面で見る)右下に、ノースブリッジ側は上の角にそれぞれ内蔵されているFSB(もしくはシステムバス)コントローラの距離を少しでも短くするため。DIMMスロットが決まってCPUの右側にレイアウトされるのも、CPU内部のメモリバスコントローラが右側の縁に内蔵されるためだ


信号品質と高めるには、配線の幅と配線の間隔も重要になる。インピーダンスを大きくするために配線の幅を狭くする一方、供給電圧を上げるには幅を広くする必要がある。このトレードオフでASUSTeKでは配線の幅を4milにしている。また、高クロック動作、配線長の増大に伴なってこの間隔は広くする必要があるが、こちらも基板上に十分なスペースの確保に苦労する

 信頼性向上の解説ではASUSTeKが実際に行っている信頼性テストの項目を紹介。下記リストに挙げたテスト項目を10サンプルに対し24時間実行すると述べた。

ASUSTeKが行っている信頼性テストの一部

  • 恒温漕での高温低温動作
  • 定格から-10−+10%の幅での電圧可変動作
  • 定格から+10%までのオーバークロック動作
  • 全DIMMスロットにモジュールを差す高負荷動作
  • 使用するメモリは主要ベンダー10社の製品
  • テストプログラムは最低3種類実行

 当日のプログラムでは、このほかにビデオカード事業や、サーバ/ネットワーク事業の展開方針についても紹介された。サーバ事業ではエントリークラスのシステムに注力するとしているが、Xeon、Pentium 4、PentiumIII-Sでラインアップを固め、先日発表されたOpteron構成のシステムはロードマップにも入っていない。

 東京事務所所長 日本営業統括担当 Andrew Tsui氏によると、ASUSTeK内部で現在検証作業を行っている段階。サンプルボードはすでに完成し、いつでも量産に入れる段階になっている。

 ビデオカード事業は、NVIDIAで完全にラインナップを固めているが、Andrew氏は、GeForce FX 5800シリーズの供給トラブルによって、ASUSTeKが、少なからずダメージを受けたことを明らかにした。

 ASUSTeKは今回の問題でNVIDIAにクレームを出しており、NV35の供給は十分に行われるように要求しているという。この要求に対し、NVIDIAからは「ASUSTeKに対し優先してビデオカードを供給し、量も時期もASUSTeKの期待に十分応えるようにする」と回答があったものの、「具体的な時期や数に関する明確な返事は依然としてない」(Andrew氏)状況だ。


東京事務所所長 日本営業統括担当 Andrew Tsui氏

関連リンク
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[長浜和也, ITmedia]

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