News | 2003年4月30日 11:36 PM 更新 |
ニコンが今年2月に発表したスタイリッシュデザインのコンパクトデジカメ「COOLPIX SQ」。COOLPIXシリーズには、初代の「COOLPIX 100」から数字の型番が付けられていたが、今回の新製品は同社初のアルファベット表記となる意欲作だ。
“SQ”の意味は「Square、Superior Quality、Style & Quality」。伝統の回転レンズ機構と、斬新なスクエアデザインとが融合した注目機種を、発売前に触ることができたのでレビューをお届けしよう。
同社には申しわけないが、デザインや質感で目を引いたのはニコン製品では今回のSQが初めてだ。ネーミングの由来にもなっているスクエアなボディは、同社お得意の回転レンズユニット「スイバルデザイン」を採用。レンズ部を回転させることでさまざまなアングル撮影が行えるスイバル機構と、コンパクトボディとを両立させている。
そのスクエアなボディを実際に手にとって見ると、何かに似ている気が……。そう、ちまたでは品切れ続出となっている人気の携帯型ゲーム機とそっくりなのだ。
COOLPIX SQのサイズは、82(幅)×82(高さ)×25.5(奥行き)ミリ。なるほど、数値上でもゲームボーイアドバンスSP(84.6×82×24.3ミリ)とほとんど同サイズ。最近、FFTAにハマっている筆者がピンとくるわけだ。
同社のデジカメでは珍しいアルミ合金とステンレス合金を使ったフルメタル製のボディは、約180グラム(バッテリやメディアを含まず)と同サイズのコンパクトデジカメと比べるとやや重いものの、逆に適度な重さがユーザーの“所有感”を満たしてくれる。スクエアなボディで伝統のスイバル機構を動かしてみると、まるで金属製のルービックキューブで遊んでいるように、工業製品(モノ)として使っていて楽しいのだ。
デザイン優先で、スイバルの持ち味半減?
ただし、「デザイン・質感の良さ=使いやすさ」かというと、そう都合よくはいかないものだ。
まず、光学ファインダがない。同社のデジカメは、低価格のエントリー機など一部機種を除いて必ず光学ファインダが装備されていた。もともとスイバルデザインは光学ファインダが装備しづらい作りなのだが、それでもあえて搭載してきたカメラメーカーならではのこだわりが、SQではデザインが優先されてしまっているのだ。
さらに、手前側にレンズを回転させた時に、回転するボディの一部(レンズ横のフラッシュ部)が液晶ディスプレイを半分隠してしまう。SQでは解決策として、液晶が見えている半分側に画面を縮小して表示するといったギミックを取り入れている。
最初はその仕組みに「なるほど」と感心したが、1.5型とただでさえ小さめの液晶ディスプレイで、半分に縮小された画面は非常に見づらい。それが、液晶が覆われる後方45度回転ぐらいから縮小画面になるため、せっかくのスイバル機構が十分に生かせなくなる。
また、レンズの回転角度が前方120度/後方90度と従来のスイバル搭載機(COOLPIX 995や同4500は前後300度)に比べて少なくなっているのも、レンズ横のフラッシュ部がネックとなっているからだろう。COOLPIX 995から採用されいているポップアップ式で、フラッシュを回転レンズ部に内蔵できないものだろうか。売りであるはずのスイバルデザインが、操作感を損ねる結果となっているだけに惜しまれる部分だ。
撮影画像にノイズ感多し。量産モデルでは改善?
さて、今回のレビュー機は、開発段階の試作モデルを借りてきたもの。「画質面の評価は参考程度にしてもらいたい」(同社)と釘を刺されているので、その点を踏まえた上で撮影画像を見て頂きたい。
さて、2月の発表から3カ月が経過するが、いまだにSQの発売日が確定していない。同社広報に問い合わせても「現在のところ、近日発売としかお伝えできない」との返事。3月に行われたフォトエキスポ2003の同社ブースで尋ねたところ「5月下旬もしくは6月にずれ込むかもしれない」と話していた。量産モデルでは、画質面でのブラッシュアップに期待したい。
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[西坂真人, ITmedia]
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