News 2003年5月12日 04:34 PM 更新

Direct X 9.0世代ノートPCビデオチップ「GeForce FX Go5600」のパフォーマンスを検証する

今年3月にNVIDIAとATI Technologiesが相次いで発表した、ノートPC向け新世代ビデオチップ。最新デスクトップPC用ビデオチップと同等の機能とパフォーマンスを持たせた画期的な製品という触れ込みだったが、果たして実力はどうなのか。搭載ノートPC第一陣となる東芝「DybaBook G8」シリーズの発表に合わせて、3D描画機能を検証してみた

 GeForce FXシリーズのノートPC向け製品「GeForce FX Go5600」を実装した製品「DynaBook G8」シリーズが本日発表された(別記事を参照)。GeForce FX Goシリーズはデスクトップと異なり、5600系と5200系の2つだけが用意されている。そのため、現時点におけるNVIDIAのノートPC用ビデオチップの最上位製品となる。GeForce FX 5800系がノートPC向けでは存在しないことになるが、これはライバルのATI Technoligiesでも同じで、こちらのノートPC向け製品もMOBILITY RADEON 9600とMOBILITY RADEON 9200の2つだけとなっている。これらを搭載したノートPCもまもなく発表される予定だ。

 GeForce FX Goシリーズ、MOBILITY RADEON 9600/9200の詳しいスペックはこちらを参照していただくことにして、初めてノートPCに実装されたGeForce FX Go5600のパフォーマンスを早速測定してみよう。今回のテストでは、比較用にMOBILITY RADEON 9000を搭載したノートPCを用意した。

 なお、GeForce FX系のベンチマークで問題となるドライバのバージョンであるが、ノートPCのパフォーマンス比較ということで、コンポーネントを重視するため、インストールされているドライバを使用している。GeForce FX Go5600は、6.14.01.4334。MOBILITY RADEON 9000では、6.13.10.6236となっている。

 また、OSはどちらもインストールされているWindows XP Professional日本語版+SP1、ハードウェアの条件も、CPUは、DynaBook G8がモバイルPentium 4/2.5GHz、MOBILITY RADEON 9000搭載ノートPCがモバイルPentium 4/2.6GHz、メインメモリはどちらも512Mバイト、ビデオメモリも64Mバイトと、できるだけそろえるようにした。テストは3DMark 2001 SecondEdition Build330を利用。解像度は1024×768ドット、32ビットカラーに設定している。

ベンチマーク結果その1「3DMark 2001 SecondEditon Build330」


3DMark Score


Game1-3(Low Detail&High Detail)


Game4

 3DMark Scoreを見ると、MOBILITY RADEON 9000に対して圧倒的優勢をおさめている。一世代前のビデオチップなので当然とも言える結果。しかし、個別のテストを詳しく見てみると、無条件にFX Go 5600を優勢といえなくなる結果が見えている。

 Game1から3まで、Low Detailテストでは、3DMark Score結果のようにFX Go 5600はMOBILITY RADEON 9000に対して20〜30%の優勢となっているが、High Detailの結果を見ると、Game2以外はMOBILITY RADEON 9000とほぼ同じ値となっている。なお、Pixcel Shaderが影響するGame4はFX Go 5600が30%優勢となっている。

 デスクトップ向けのGeForce FXシリーズでも、高負荷時におけるパフォーマンスの落ち込みが激しく、ユーザーの間では「Shaderユニットやパイプラインが予想より(NVIDIAは公開していないが、PixcelShaderユニット6個にPixcel パイプライン4本と推定されている)少ないのではないか?」と考えられている。今回のテストはこの真偽に回答を出すものではないが、高負荷でパフォーマンスが急激に落ち込む、GeForce FXシリーズの傾向が、GeForce FX Goシリーズでも見られることになる。そうなると、画面描画速度を重視するユーザーなら、現行のDirect X 8.1、PixcelShader1.1ベースの3Dゲームを行う場合でも、ゲームのグラフィックディテール設定を高くするのは避けたほうがいいだろう。

 なお、ビデオチップの性能を直接比較するテストではないが、FINALFANTASY XI Official BechMarkを実行してみた。このテストはシステム全体として、FINALFANTASY XIをどの程度快適にプレイできるかの指標を求めるものだが、ビデオカード以外のスペックがほとんど同じノートPCが用意できたので、参考までに結果のグラフを掲載する。


FINALFANTASY XI Official BechMark

 なんと、MOBILITY RADEON 9000を下回ってしまったFX Go 5600。「ビデオの描画性能を測定するテストではない」とはいうものの、ビデオ以外のスペックがほぼ同じノートPCでの比較である。どちらも4000前後の値を出しているので、FF XI公式サイトで「快適に動作させることができるマシンだと予想されます」と評価される結果でもある。ちょっと考えさせられる結果であった。

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関連リンク
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[長浜和也, ITmedia]

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