News 2003年6月4日 09:32 PM 更新

“手ぶら”で操作するインタフェース

ワークショップでは研究所の成果を“見学”するツアーも開催。手のひらにメニューを表示し、もう一方の手で操作するインタフェースなどが紹介された。

 今回のワークショップでは、研究所ツアーとして、いくつかの研究所の研究成果を見ることができた。

 会場では、成果発表が中心で、ウェアラブル機器を身につけている人はほとんど見かけない寂しい状況だったが、研究室では、けっこう身につけて、いろいろな研究を行っていることが分かった。

 その一つは、Application Group Image Processing Labの、Hand-Menu Systemである。Hand-Menu Systemは、人間の手のひらの色と形を認識して、その手のひらにメニューを表示するシステムだ。

 「じっと手を見る」と、メニューが表示されて、もう一方の手でメニューを触ると、そのメニューを選択することができるという。屋外などでは、常時ウェアラブル機器の操作のために手になにかを持っているというのは困難だ。そう考えれば、このような自然なインタフェースは分かりやすく実用的である。

 同じHand-Menu Systemのなかには、親指と人指し指で直角を作ると、長方形(矩形)が表示され、その個所の写真を記録できるというシステムも実現していた。見ているものを記録できる、というのは、ウェアラブルシステムとしては、大変分かりやすい仕掛けで、自然な操作感が実現しているのは、面白い。


Hand-Menu Systemの応用例。90度に曲げた指の間に出た長方形で、画像を切り取って写真として保存できる

 二つめは、村田賢、上岡隆宏氏らの、ウェアラブル記憶システムである。河野恭之助教授が発表していたシステムで、RFIDタグを使って、手にした映像を記録し、再生することができる。

 たくさんの情報をためるところまではいっていないということだったが、「ウェアラブルというと大阪大学の塚本先生が有名ですが、私たちも常時身につけて実証実験する、ということに挑戦していきたいと思っています」と、若者らしい意欲的な言葉を聞くことができた。

 「私たちのグループには、(塚本先生のような)派手なウェアラブルでなくて、地味なウェアラブルもあるんじゃないか、と言っている者もいます」と言うことで、「おおバトルか!?」という展開(じつは仲よしとのことだが)。

 実際、だれもが派手なウェアラブルを求めているわけではないだろうから、いろいろな価値観が出てくるのは好ましい展開だと思う。ともかく、身につけてみなければ、なにも見えないのだ。

 ちなみに、「挑戦状」を突きつけられた塚本助教授は、同じ時期に、アメリカ東海岸のロードアイランド州プロビデンスで行われている国際会議に出張中だった。


奈良先端科学技術大学院大学の村田賢、上岡隆宏氏。常時身につけるウェアラブルを実践したいと抱負を語ってくれた。


奈良勢の挑戦を受けた(?)大阪大学の塚本昌彦助教授は、そのころアメリカで国際会議に出席中…

 そのほか、会場では、ATR/ジョージア工科大学のダニエル・アッシュブルック氏が、MicroOptical社のVGAサイズのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を着け、片手入力キーボードを使って、盛んにメモを取っているのが目立っていた。


ダニエル・アッシュブルック氏の使用するMicroOptical社のVGAサイズのHMD。メガネの縁に留められるように、ガイドがつけられていた

[美崎薫, ITmedia]

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