News 2003年6月4日 09:19 PM 更新

「私はここよ」――モノが主張する記憶システム

ウェアラブルで問題になるのが「検索のきっかけをどうするのか」といったこと。その解決策として発表されたのが、過去に触ったモノ自身が「私はここよ」と主張するシステム「SARA」だ。

 ウェアラブルでは、大阪大学大学院の塚本昌彦助教授と並んで知られる奈良先端科学技術大学院大学の河野恭之助教授は、記憶に近づくウェアラブルシステム「SARA」を発表した。

 SARAは、カメラつきのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、RFIDタグつきのオブジェクト群、RFIDタグリーダー、超巨大記憶媒体、データベースなどからなる統合システムである。

 このシステムを一言で言うのであれば、「私はここよ」システムだろう。

 「私はここよ」システムでは、過去に触ったものの映像がデータベース化されて蓄積されている。物が見つからないときに、そのものについて検索すると、最後に触ったときの映像が瞬時にHMD上に表示され、「ああ、××にしまったのか」ということを思い出せるのである。

 逆に、オブジェクトがある場合には、そのオブジェクトにまつわる過去のイメージを映像として呼び出すこともできる。コンピュータを用いた、大規模な“地縛霊”のようなものといってもよいかもしれない。


映像のなかで「これは」という時の“瞬間”をデータベースに記録する

 物や位置自体に情報を付加する、という考え方は、ウェアラブルで問題視される、「検索のきっかけをどうするか」とか、「文字入力をどうするか」とか、「インタフェースをどうするか」といったような複雑な問題を解決する可能性がある。

 このあたりは、実際に動かしてみた結果を知りたいところだ。タグ付けをどこまで自動化するのか、などの運用面をどうするかも興味深い。


物に触ると、その思い出がよみがえってくる

 河野助教授もかなり積極的にウェアラブル機器を身に着けアピールしていることで知られるが、今回は主催側ということもあってかスーツ姿で登場。個人的にはウェアラブル研究者の「正装」は、やっぱり、ウェアラブル機器満載の重装備だと思うので、すこしばかり残念だった。

 もっとも本人に言わせると、「腕時計型のウェアラブル機器は着けてますよ」とのこと。

関連リンク
▼ 河野恭之助教授のホームページ

[美崎薫, ITmedia]

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