News 2003年6月5日 04:39 PM 更新

iTunes Music Store、5大レーベル攻略後の次なるターゲットは「インディーズ」

サービス開始時に5大レーベルが参加していたことで、AppleのiTunes Music Storeのカタログ楽曲は20万曲に達したが、それだけでは音楽ファンは満足しない。Appleは次なるターゲット、「独立系レーベル」をターゲットに動き始めた。

 Apple ComputerはiTunes Music Storeを現在の「5大レーベル」以外にも広げようとしている。MacCentralがAppleに確認したところによると、同社では6月5日(米国時間)に独立系レコードレーベルとのミーティングを行い、同サービスに対する将来の参加について協議する。

 iTunes Music Storeは4月末にオープンし、米国在住のMac OS XユーザーでiTunes 4とクレジットカードがあれば、無料サインアップできる。1トラック当たり99セント(アルバム単位で購入するとさらに安くなる場合が多い)で現代の最もコマーシャルなレコーディングアーティストの楽曲をダウンロードでき、多くのジャンルにわたるバックカタログは数十年前からの音楽も参照できる。

 購入した楽曲はDolbyのAdvanced Audio Codec(AAC)テクノロジーを採用し、128Kbpsのビットレートでエンコードされており、Appleが開発した著作権管理技術、Digital Rights Management(DRM)を組み込んでいる。DRMにより、3台までのMacまで再生が可能で、CD-ROMへの収録は無制限に、また、登録されたiPodへのダウンロードも無制限に行うことができる。

 iTunes Music StoreのDRMシステムは使いやすく、BMG Entertainment、EMI Group、Sony Music Entertainment、Universal Music Group、Warner Brothers Recordsという「5大レーベル」の承認を取り付けることができた。Appleは5大レーベルから20万曲の楽曲をiTunes Music Storeのカタログ掲載して販売するライセンス契約を結んだ。このサービスはスタート以降、毎週、着実にライブラリの数を増やしている。

 Appleによれば、iTunes Music StoreはMac OS XコンピュータとiTunesが必要で、米国だけのサービスであるにもかかわらず、これまでに300万曲をダウンロード販売している。Appleは今年後半に、iTunes Music StoreをWindows PCでも利用可能にするとしており、これらの実績は音楽ビジネスの内外で関心が高まっている。

 iTunes Music Storeで明らかに欠落しているのが、独立系音楽レーベルの楽曲である。海賊行為の問題はさておき、インターネット技術は弱肉強食の小売り音楽ビジネスとは異なり、自分たちの音楽を安価にマーケティングし、販売するための方法だと考えている独立系レーベルもある。iTunes Music Storeは独立系レーベルの思惑にぴったり合致する。

 Apple CEOのスティーブ・ジョブズ氏は同社がメインストリームの音楽だけではなく、その先にも関心を抱いていることを隠していない。音楽サービスがスタートしてすぐにTime Onlineに掲載されたインタビューで、ジョブズ氏はiTunes Music Storeがうまく立ち上がったことにより、Appleは独立系音楽レーベルに「専念するための時間ができた」と述べており、ジョブズ氏はこれらのレーベルの多くに関心を抱いているという。

 「iTunes Music Storeがスタートして1カ月で300万の楽曲がダウンロードされた」とAppleの広報担当者はMacCentralに語った。「この成功により、ストアにおけるセレクションを増やしていくことに専念でき、そのために6月5日にいくつかの独立系レーベルをAppleに招待した」と担当者は述べている。

[Peter Cohen, IDG News Service]