News:アンカーデスク 2003年6月6日 11:59 PM 更新

省エネとコンピュータのホットな関係
熱は部品寿命にも影響する(1/3)

コンピュータの発熱問題が影響を及ぼすのは、CPUだけではない。部品の製品寿命を短くしたり、データの消失問題を引き起こしたりと、さまざまなトラブルを引き起こす可能性がある。

 PCは半導体チップ以外にも多くの種類の部品で構成されている。なかでも、電源回路関連でよく使われている電解コンデンサ(ケミコン)は、温度によって寿命が極端に短くなる部品の代表格だ。

 その多くはアルミ非固体電解コンデンサと呼ばれ、薄いアルミ箔と電解紙、電解液などが中に詰まっている。この部品の熱に関係する最大の問題点は、高温状態では電解液の揮発が進み寿命が短くなるということだ。

 一般に、良質な電解コンデンサの寿命は15年程度が上限とされており、しかもコンデンサの周囲温度が+40℃に対して10℃上昇するごとに寿命は半分になると言われる。つまり、周囲温度が50℃なら7.5年、60℃なら3.25年で寿命ということになり、正常な動作を期待できなくなるのだ。

 ただし、この数値は高性能な日本製の場合であり、製造元の技術ノウハウ(そして価格)によってかなりばらつきがあると言われる。安価なPCの電源やシステムボード上には、安価だが特性もそれなりの部品が使われることが多く、その場合、実際にはさらに寿命は短いと考えるのが妥当だろう。

ハードディスクの情報が熱で消える

 最新のハードディスクドライブは記録密度が非常に高く、1台のドライブで一昔前からは考えられないほどの大容量化を実現している。しかも、記録密度が高まったことにより、1回転当たりで読み書きできるデータ量も飛躍的に向上した。

 逆に言えば、ディスクの回転数が一定なら、記録密度を高めることにより1回転する時間内に読み出せるデータが増えるため、高速化も同時に達成したことになる。さらにディスクの回転数を高めることで、読み書き速度を大幅に高速化した製品もある。

 しかし、このことがハードディスクドライブにとって大変深刻な状態を加速させていることは意外に知られていない。

 問題は二つある。まず、記録密度が高まったことや、高速回転で読み書き速度が高速になったということは、ハードディスクドライブの読み書き回路も高速化されていることを意味する。すなわち、前述の半導体チップの発熱量はここでも、大幅に増えているということだ。

 そのせいか、近年のハードディスクドライブの故障原因のうち、サーボ回路や読み書きアンプやPLL回路(読み出したデータをもとに同期クロックを生成し、ロックする)といったコントローラ基板の故障によるものが非常に増えている。

 だが、もっと深刻なのは、ハードディスクに記録した情報が熱で徐々に消えていく、という問題だろう。これはハードディスクの記録方式、すなわち磁気記録の原理的な限界にかなり近づくと、熱に関連する「超常磁気効果(Superparamagnetic effect)」または「加熱減磁(Thermal signal loss)」と呼ばれる現象が起きることに起因する。

 この現象をもう少し詳しく見てみよう。

 ハードディスクの記録密度を高めた結果、1ビットの記録に要する面積、つまり磁性体の数は非常に少なくなった。すると、“熱によるゆらぎ”で、記録したデータがある確率で消えてしまうという現象が起きる。これが前述の超常磁気効果だ。

 理論的には、磁気媒体の磁化を粒子として考えると、超常磁性限界サイズと呼ばれる粒子の体積がある。これ以下の粒子サイズでは超常磁性状態となり、記録されたはずの信号の残留磁化がゼロ、つまり読み出せなくなるのだ。

 超常磁気限界サイズは、温度、時間、磁気材料の磁気異方性(magnetic anisotropy:磁化が結晶軸や形状に沿って並び易いかどうか。磁気的な安定性やノイズの量に影響)といった要素で決まる。つまり記録密度を高めるため、記録周波数を上げ、磁性体の粒子を小さくすると、ディスクの温度上昇や時間の経過と共に記録した信号は、徐々に磁化状態が崩れ出力が減少していく傾向が強くなるわけだ。

 ある資料によると、最近ではヘッド出力が5年間で10デシベルも低下するのは当たり前だが、ごくまれに回復不能なエラーになることもあるという。

[宇野俊夫, ITmedia]

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