News 2003年6月10日 08:26 PM 更新

SCO、Linuxソースコードとの比較をアナリストに見せる

SCOは自社が持つUNIXコードベースをLinuxがコピーしている「証拠」をアナリストに見せるという動きに出た。これに対するオープンソース陣営の反論は?

 米SCO GroupはLinuxオペレーティングシステムとIBMに対する訴訟を抱えて巡業中である。

 先週、同社は米国のアナリストにソースコードを見せ始めた。SCOの主張によれば、これはLinuxオペレーティングシステムに、SCOが持つUNIXコードベースから直接剽窃された部分が含まれていることの証拠となるものだという。

 SCOのプレゼンテーションは、GartnerとAberdeen Groupのアナリストに対して行われ、IBMが貢献したLinuxコードベースの一部を取り上げている。このコードはSCOのUNIXコードに由来しており、さらにはAT&TのSystem V UNIXコードにさかのぼることができ、さらにLinuxコミュニティの手に渡ったが、それはSCOのライセンス契約を侵害するものだと同社は述べている。

 SCOは6月いっぱい、この問題に興味を持つアナリストとジャーナリストに対して証拠を提示すると、SCOのSCOsource担当ジェネラルマネジャー、クリス・ソンタグ氏は語った。

 「これからお見せする具体的な証拠の一つは、Linuxに1行1行複製された(UNIXの)コードだ」とソンタグ氏。同氏によれば、このコードはLinuxとSCOのコードベースで同一のもので、SCOは著作権侵害と考えているという。

 ソンタグ氏はUNIXのどの部分がコピーされているとSCOが主張しているのかは明らかにしなかったが、その作業はIBM以外によって行われたもののようだという。

 SCOはこの3月に、IBMに対し10億ドルの訴訟を起こしたが、訴状に挙げられているのは企業機密の漏洩、不法妨害、不正競争、契約不履行だ。

 SCOの対IBM訴訟には、著作権法に関するものは含まれていない。ソンタグ氏によれば、著作権法違反の場合、法廷での立証が困難になるため、そのかわり、契約法を中心にこの訴訟は展開されている。SCOの主張は、IBMが1985年にUNIXのライセンスを取得したときに元々はAT&Tと契約を結び、次にSCOにライセンスが移転されたが、この契約によりIBMは、UNIXコードベースに由来するソフトウェアを配付することができなくなったというもの。

 IBMのLinuxへの貢献は、NUMA(不均等メモリアクセス)とSMP(対称型マルチプロセッシング)、そしてジャーナリング・ファイル・システムに関するものだが、ソンタグ氏は、そのいずれも当該ライセンス契約に違反しているという。

 SCOは6月13日にIBMのUNIXライセンス契約を破棄する計画で、「われわれは契約上、その権利を持っており、彼らがわれわれと結んでいる契約を侵害しているのだから」とソンタグ氏。

 IBMは本件に関し、いかなる法律違反も犯していないと否定している。

 オープンソース支持者は、SCOには、UNIXコードがLinuxデベロッパーによりコピーされ、その逆は起きていないことを立証する責任があると話す。「私がこの提訴で最も疑問に感じているのは、どの方向で伝播が起きたか、ということだ」とオープンソース擁護者のエリック・レイモンド氏。

 SCOはLinuxカーネルに対して積極的に貢献していた事実があり、SCOが本件を立証するのは難しいだろう、とレイモンド氏。「System VからIBM、そしてLinuxへと伝播したのであって、System VからSCO独自のカーネルへ、そしてLinuxへと伝播したのではないことを、SCOは立証する責任がある」とレイモンド氏は指摘する。

 SCOはMassachusetts Institute of Technology(MIT)の理学部を含む、3つの専門家チームを雇い、LinuxとUNIXのソースコードの類似性を見つけることができたと述べている。「3チームとも、LinuxのなかにUNIXのソースコードが使われている例を発見した」とSCOの広報担当者は述べている。

 先週、SCOからのブリーフィングを受けたGartner Groupのアナリスト、ジョージ・ワイス氏は「彼らは十数個のファイルで類似性を指摘できると主張しており、それはいくつかのまとった部分であったり、さらに大きなブロック単位だったりしているという」と述べた。

 オープンソース支持者は、LinuxとSystem Vに同じコードが使われているのは驚くべきことではないと言う。なぜならば、どちらもBerkeley Software Distribution (BSD) コードベースを使っているからだ。「UNIXが多くのBSDコードを使っているのは事実であり、Linuxもいくらかは使っている。だから、共通のコードラインがあるのは当然だ」とリーナス・トーバルズ氏は電子メールでのインタビューに答えた。

 SCOはトーバルズ氏に対し、問題のコードを見せると提案したが、トーバルズ氏はまだその提案を受けていない、とソンタグ氏は語った。

[Robert McMillan, IDG News Service]