News 2003年6月12日 09:30 PM 更新

コダック、国内個人向けデジカメ市場に再参入

コダックは、今後1年以内にもデジカメ激戦区の日本市場で、コンシューマー向けデジカメ販売を再開することを明らかにした。再参入を陣頭指揮するのは、オリンパスでデジカメ事業を立ち上げ、今年4月、Kodakのデジカメ事業の責任者に就任したばかりの小島佑介氏だ。

 コダックは、6月12日に都内で行った近況報告会で、来年にも国内のコンシューマー向けデジカメ市場に再参入することを明らかにした。

 近況報告会は、米Eastman Kodak会長兼CEOのダニエル・カープ氏来日にあたって都内ホテルで実施されたもの。デジカメ再参入を示唆したのは、カープ氏の講演に先立って挨拶に立ったEastman Kodakデジタルカメラ事業部長/バイスプレジデントの小島佑介氏だ。


Eastman Kodakデジタルカメラ事業部長/バイスプレジデントの小島佑介氏

 小島氏は今年4月にオリンパス光学工業から現職に就任。35年間在職したオリンパスでは、デジカメ部門の責任者としてオリンパスのシェアアップに大きく貢献した実力者で、Kodakでその手腕がどう生かされるか注目されていた。

 小島氏は「デジタルカメラの事業部長就任にあたり、まず考えたのが日本市場での取り組み。デジカメの世界市場で25%を占める日本でのビジネスは、やはり避けて通れない。だが、デジカメメーカーは国内企業がほとんど。米国発のマーケティングコンセプトと、日本発のモノ作りで、一味違った提案を行っていきたい。1年以内に日本市場に再参入する」と語り、来年前半までには国内市場向けにデジカメ新機種を投入することを明言した。

 デジカメの草創期からさまざまな製品群を市場に投入し、全世界では高いシェアを誇る同社。日本でのデジカメ取り組みも早かったが、10数社がしのぎを削る国内市場では、ここ数年苦戦を強いられていた。昨年からは国内でのデジカメ新製品発表は1機種もなく、事実上デジカメ市場から撤退という見方が強かった。

 だが世界市場では、今年3月に世界初の有機ELディスプレイ採用のデジカメ「LS633」を発表し、4月からは欧州・アジア・オーストラリア地区で399ドルという戦略価格で販売するなど、日本以外の市場では依然としてデジカメを積極的に展開。

 特にこのLS633は、近年やや大きめのサイズが多かった同社のデジカメの中でも、久々となる“手のひらサイズ”のコンパクトデジカメだっただけに、日本での販売を熱望する声も多かった。

 日本法人(コダック)の広報も「(デジカメ再参入の件は)今日、初めて聞いた。もちろん、再参入の詳細な時期や製品の予定などは、まったく分からない」と語り、寝耳に水の出来事に少々困惑している様子。もっとも、オリンパスでデジカメ事業を立ち上げてきた小島氏のKodak入りで、同社内でもデジカメ事業の強化が行われるだろうということは、暗黙の了解になっていたようだ。

 Eastman Kodak会長兼CEOのカープ氏は「デジタルイメージング分野で大きな革新が起こっている現在は、Kodakにとっても大きなビジネスチャンス。小島氏が加わったことで、デジタルイメージング事業が大きく強化された。小島氏が世界のデジタル市場におけるわれわれのチャレンジに大きく貢献してくれると信じている」と、小島氏のデジカメ分野での手腕に期待を寄せるコメントを残した。


Eastman Kodak会長兼CEOのダニエル・カープ氏

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[西坂真人, ITmedia]

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