News:アンカーデスク | 2003年6月19日 01:38 PM 更新 |
6月13−14日に、ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)の一般公開が行われたので、私も14日に出かけてきた。開催は午後3時から午後6時までだったのだけど、午後2時半頃には建物の前に列ができている。事前申込制だから定員は問題ないはずなのに、こういうのが好きな人っていうのはやっぱり熱心なようだ。
会場は建物の2階と3階。基盤研究室とCSL-Parisっていう基礎研究なのが3階、もっと応用的なインタラクションラボラトリーが2階という風に分かれている。本当は3階から回るのが順路なのだけど、すいているうちにっていうんで2階から見せてもらうことにした。そしたら、2階を見ているだけで、開催時間がほとんど終わってしまった。インタラクションものは大好きだから、一つ一つをゆっくり見て話を聞いてなんてことをしていたからなんだけど、それにしても時間の経つのが速い。
というわけで、2階に特化したレポート。
FEELとTACT
「FEEL」というのは、CSLが提案するインタフェースデザインの名前だ。人間がマシンにアクセスするとき、マシンとマシンとをつなぎたいとき、そこに「触れる」「向ける」「載せる」という直感的な操作をするだけでいいという思想だ。ユーザーにアドレスだのIDだのは感じさせないのだ。(これについては、リビング+にも記事があるので参考にしてほしい)
そして「TACT」はそれを実現するための「魔法の杖」である。それ自身は細身のリモコン、あるいは携帯電話といったサイズだ(ICタイプのボイスレコーダーが一番似ているかな)。これにいくつかのボタンと、ポインティングデバイス、ジョイシャトル、それに小さな液晶パネルがついている。
これを操作したいマシン(につながっている外付け「パネル」)(*1)に「向ける」。通信が行われたことを表わすために、パネルとTACTとの両方についている白色LEDがゆっくり同期して瞬く。
まずこの状態で、TACTはそのマシンのコントローラーになった。パソコンとつながったんならマウスのように使用できるし、ビデオデッキとつながったらリモコンになる(*2)。
パソコンにつながったときには、こういう操作もできる。
データは、一度TACTにコピーされているわけじゃなくて、TACTの操作によってネットワーク経由でマシン間でコピーされている。だから、吸い上げるというよりは、TACTでファイルを動かしているというほうがイメージは近い(だんだん魔法の杖っぽくなってきた)。
マシンはパソコンでなくてもいい。吸い上げたファイルをプリンタに落としてプリントアウトするのもいいだろうし、番組表データをビデオデッキに落として予約録画なんていうのも考えられる。もっともビデオデッキは、ネットワークにつながっていないから、この場合にはTACTが内部で処理して赤外線リモコンになるしかない。
将来ネットワークにつながるようになったら、ビデオデッキからパソコンに落として画像取り込みなんていう操作も考えられるかもしれない(って、これは筆者の妄想です。著作権的な問題があるからそう簡単にはいかないでしょう)。
TACTはIP電話機としての機能もあり、普通に電話をすることができる。ここにも技がある。相手と電話がつながった状態で、パソコンとコネクションをとると(もしかすると、もう1操作あったのかもしれない)、その相手とネットミーティングができるのだ。
「ネットミーティングで一番面倒なのはつなぐところですよね。相手のIDがどうとかこっちの接続がどうとか。どうかすると、それを電話でやりとりしてたりする。だったら、電話でつながっているんだったら、いきなりそこで(TACTが)情報を交換しちゃえばいい」っていう考え方だ。同じように、相手にファイルを送付することだってできる(*3)。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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