News 2003年6月25日 00:11 AM 更新

いざという時、頼りになる“彼ら”――レスキューロボット大集合

国際レスキューシステム研究機構が「レスキューロボット・デモンストレーション」と銘打った発表会を開催。全国からさまざまな形や機能を持ったレスキューロボットが集まった。

 6月24日、NPO国際レスキューシステム研究機構(会長・田所諭氏)が、「レスキューロボット・デモンストレーション」と銘打った発表会を、同機構の川崎ラボラトリーで開催した。

 国際レスキューシステム研究機構については、以前Robodex2003フォーラムの記事で紹介したが、文部科学省の「大都市大震災軽減化特別プロジェクト(大大特プロジェクト)」の一部として「大震災における緊急災害対応(人命救助等)のための人体検索・情報 収集・配信等を支援することを目的とした、ロボット・インテリジェントセンサ・携帯端末・ヒューマンインターフェース等の研究開発を行う。」というものだ。

 発表は、実機・パネル展示合わせて全部で50。日本各地の大学や研究機関、企業が集まっている。発表を見る側も研究者だけではなく、役所などの防災担当者らしい人、あるいはごく普通のおばあさんまで、かなりの注目を集めた催しになっている。

 詳しいレポートは、後日(動画つきで)することにして、今日はロボットたちを簡単に紹介しよう。

Leg-in-rotor-IV


動画はこちら(約1Mバイト)

 東京工業大学塚越研究室による。こればっかりは動画じゃないと価値がわからない

 ボンベに詰め込まれたガスの力を使って80センチ程度はジャンプする。がれきの山もひとっ跳び。ジャンプした後どの向きに落ちるかは分からないのだけど、どんな向きになってもちゃんと起きられるようになっている。

蒼龍


 同じく東工大の広瀬研究室。もはやおお馴染みかもしれない。三つのクローラー(キャタピラ)をつなげた構造で、がれきを乗り越えるのも、すき間にもぐりこむのも得意。パワーもあるので、少しぐらいのがれきなら、かきわけながら進むということもできる。

KOHGA


 こちらは電気通信大学松野研究室と日本SGIによるクローラー連結型ロボット。まだ動作は完全ではない。でも、7月にイタリアで開かれるRobocup2003世界大会レスキューロボット実機リーグに、このマシンを引っさげて出場するのだそうだ。これから修羅場が続きそうだ。

MOIRA


 京都大学大須賀研究室の「がれき内探索ロボットMOIRA」。ヘビというかナマコというかそういうフォルム。上下左右にクネクネできて、がれきの中を進み、カメラで画像を撮影するとともにその位置を知らせるというもの。

6本足


 大阪大学新井研究室の「リムメカニズムロボット」。6本足だけど、線対称というよりは点対称なので、ヒトデ的な感じにみえる。普段は6本足で歩くのだけど、それぞれの足は同時に手でもあり、2本で作業をしながら、残り4本で歩くなんていうのもできる。

飛行船


 東京大学、理化学研究所、東京工科大学の共同による「レスキュー用データキャリアによる被災者探索システム」。会場の上空に浮かんでいた。飛行船に取りつけられたミラーの光反射を地上から追尾することで、その位置を測定するというしくみ。

宙づり


 神戸大学田所研究室の「上空からの情報収集のためのケーブル駆動ロボット」。被災地の上空にケーブル(ワイヤー)を張って、そのワイヤーで宙づりロボットを支えようというもの。ワイヤーの向こう側をどうやって押さえておくのか(何かで打ち込むのかな)という問題はあるのだけど、それさえクリアすれば、あとは美しい。たぶん。

臨場感



 電気通信大学 松野文俊教授と岡山大学 伊藤一之助手らによる「操作性を考慮した情報収集ロボット」。ロボットというよりはインタフェースの展示だ。ロボットに搭載された魚眼レンズの画像(下の写真)を6台のディスプレイに展開し、よりリアルなテレイグジスタンスを実現しようというものだ。

 実際に運転してみた。画像の粗さ(NTSCの画面に内接する魚眼の円の画像を6台のディスプレイに振り分けているのだ)は、動作中にはあまり気にならなかったのだけど、距離感のなくて車両感覚がつかめずに、すぐにぶつかったりしてしまった。



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