News 2003年7月8日 08:42 PM 更新

FAXにも“カメラ付き”――シャープ、世界初のCCDカメラ搭載ファクシミリ

シャープが、世界初の“カメラ付き”Lモード対応ファクシミリを発表。本体から着脱可能な5インチカラー液晶ディスプレイ部に、31万画素のCCDカメラを搭載した。携帯電話市場の牽引役となっているカメラ機能は、Lモードファクシミリでも普及の起爆剤となるのだろうか。

 シャープは7月8日、CCDカメラと着脱式液晶ディスプレイを搭載したLモード対応ファクシミリ「UX-W60CL/UX-W60CW」を発表した。「CCDカメラを搭載したファクシミリは世界初」(同社)。価格はオープンだが、実売は子機1台のUX-W60CL(8月2日発売予定)が5万8000円前後、子機2台のUX-W60CW(8月8日発売予定)が6万5000円前後となる見込み。


Lモード対応“カメラ液晶”ファクシミリ「UX-W60CL/W60CW」

 UX-W60CL/UX-W60CWは、本体から着脱可能なQVGA(320×240ピクセル)5インチカラー液晶ディスプレイに、31万画素のCCDカメラを搭載。6万5536色表示が可能な5インチ画面をファインダー/画像確認モニタにして、VGAサイズ(640×480ピクセル)の画像を撮影できる。


5インチカラー液晶ディスプレイに、31万画素のCCDカメラを搭載。同社の31万画素カメラ付き携帯電話(J-SH010など)に採用されているのと同じCCDユニットを使っている


撮影した画像はサムネイル表示で確認できる。着脱式のカメラ付き液晶部では画像の撮影や確認は行えるが、今年1月に発表したBluetooth対応モデルのように、ワイヤレスでLモード操作などを行うことはできない

 撮影画像は、カメラ付き液晶部本体の内蔵メモリにVGA画像で約50枚を保存可能。また、カメラ付き液晶部本体の側面にSDメモリーカードスロットを搭載しており、撮影した画像をSDメモリーカードにも保存できる。撮影画像は、待機画面のほか「からくり時計」「スクリーンセーバー」といった内蔵アプリケーション用にも利用可能。


SDメモリーカードスロットを搭載。撮影した画像をSDメモリーカードに保存可能。また、デジタルカメラで撮影した画像をSDメモリーカード経由で本体に取り込み、5インチ画面で閲覧も行える

 7月15日からスタートするLモードの新サービス「写真Lメール」に対応。Lモード対応機同士だけでなく、携帯電話やPCとの間でも、撮影画像を使ったメールの送受信が行える。なお、同サービスを利用するには、Lモード契約が必要となる。

 「カメラ付き携帯電話の写真付きメールやPCからの画像添付メールを受信して、5インチ液晶画面に表示させたり、待機画面に設定したりできる。また、UX-W60シリーズのCCDカメラで撮影した画像を、携帯電話やPCに送信することも可能。PCには、添付ファイルとして直接送信できるが、携帯電話はURL付きメールでサーバ経由で画像を閲覧することになる」(同社)

 また、Lモードサービスを使って、外出先から家の様子が確認できる「留守番カメラモニター」機能を搭載。外出先から携帯電話を使って、親機に設置したカメラ付き液晶部での撮影や、撮影画像をあらかじめ登録したメールアドレスに送信するといった操作がリモートで行える。同機能の利用も、写真Lメール同様にLモード契約が必要となる。


外出先から家の様子が確認できる「留守番カメラモニター」機能を搭載

カメラ機能はLモード普及の起爆剤になる?

 iモードの利便性を固定電話に持ち込んだのがLモードだが、今回の新製品では、近年の携帯電話市場の牽引役となっているカメラ機能までもLモードファクシミリに取り込んだカタチとなる。

 同社通信システム事業本部長の高原秀典氏は新製品について「CCDカメラを着脱式の液晶ディスプレイに搭載した世界初のファクシミリ。家中のどこでも誰でもいつでも使える“ホームユビキタス端末”となっている。国内携帯電話出荷の8割がカメラ付きとなり、当社のカメラ付きケータイの累計出荷台数も1000万台を突破。若いユーザーを中心に、写真付きメールがコミュニケーションの手段として利用されている。新製品は、カメラ付きケータイの持つパーソナルコミュニケーションの楽しみを、家庭にも持ち込むための商品」と説明する。

 だが、お手本となったカメラ付きケータイのCCD性能は、メガピクセルに移行し始めている。一方、今回の新製品に使われたCCDは、一世代前のスペックとなる31万画素。また、ファクシミリ搭載としては大型となる5インチのカラー液晶ディスプレイも、同社お得意のCGシリコン液晶やTFT液晶といった高性能タイプではなく、視野角やコントラストなどで不利な単純マトリックス方式の透過型デューティー液晶を採用している。


新製品に使われたCCDは、一世代前のスペックとなる31万画素。ディスプレイも視野角やコントラストなどで不利な単純マトリックス方式の透過型デューティー液晶を採用している

 “世界初”を冠したフラッグシップ製品として、大々的にアピールしなければならない新製品に、スペックの低い部品を採用しなければならない理由は、ズバリ「価格」だ。

 「メガピクセルを採用しなかった大きな理由は、価格とのバランス。31万画素のCCDユニットの方が安いというだけでなく、高画素化によって周辺部品の変更や処理システムの高速化など、コストアップの要因が増えてくる。今回は、カメラ機能を搭載しながらも、コスト的にはカメラなしモデルに比べて1万2000〜1万5000円前後の価格アップに抑えることができた。画像によるコミュニケーション機能に1万円強の対価というのをどう評価するかは、ユーザーの判断にまかせたい」(同社)

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[西坂真人, ITmedia]

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