News | 2003年7月18日 05:47 PM 更新 |
シャープは7月18日、液晶ディスプレイの新シリーズ「Crisia」ブランドを発表。第一弾としてTVチューナーを搭載した2機種、17インチワイド「LL-M17W1」(8月11日発売)と15インチ「LL-M15X1」(9月29日発売)を発売する。価格はオープンだが、実売はLL-M17W1が9万円前後、LL-M15X1が5万5000円前後になる見込み。
両機種ともに、地上アナログ放送を受信できるTVチューナーをモニタ本体に搭載。TVチューナー内蔵PCや外部TVチューナーを使わずに、モニタ単体でTV番組を視聴することができる。また、外部映像入力端子を装備しており、家庭用DVDプレーヤーやゲーム機とつないで楽しむことも可能。液晶モニタ1台で多彩な映像ソースが利用でき、付属のリモコンでワンタッチで映像を切り替えることができる。
また、TVやDVDなど映像ソースをより高画質で楽しむために、モアレ状のカラーノイズを低減させる「4ラインY/C分離機能」や、ツヤのある映像を楽しめる画面保護パネルを装備した。
PinP機能やD1端子を装備した17インチワイド液晶「LL-M17W1」
LL-M17W1は、シネマサイズのDVD映像をフル画面で楽しめるWXGA(1280×768ピクセル)表示の17インチワイドTFTカラー液晶パネルを搭載。映像コンテンツを鮮やかに表示するため、最大400カンデラ/平方メートルの高輝度タイプを採用した。視野角は上下左右170度、コントラスト比は600対1と広視野角・高コントラストになっている。ただし、液晶パネルは自社製ではなく、他社からのOEM製品を使用している。
映像入力端子は、ビデオ2系統(S端子1系統)のほか、より高画質な映像を楽しめるD1端子を装備。D1端子にDVD、ビデオ端子(S端子)にゲーム機というように、最大2台までのAV機器を接続することができる。PC入力は、アナログRGB端子(ミニD-Sub15ピン)を1系統用意。DVI-D/Iなど、デジタル入力端子は備えていない。
LL-M17W1に用意された特徴的な機能が「ピクチャーインピクチャー(PinP)」。PC画面上にTVの小画面を表示することができ、PC作業中にTVを同時に楽しむことができる。小画面から全画面への表示切り替えも、リモコンのボタン一つで行える。
そのほかLL-M17W1には、動きのある映像をなめらかに表示する「高画質IP変換機能」や、映像伝送系で生じる波形の歪みを補正する「CTI(カラートランジェントインプルーブメント)画質補正機能」、ノイズを低減させる「DNR(デジタルノイズリダクション)機能」など、高画質化機能を備えた。
普及価格のTVチューナー付き15インチTFT液晶ディスプレイ「LL-M15X1」
LL-M15X1は、15インチTFT液晶ディスプレイにTVチューナーを搭載しながら、実売で5万5000円という普及価格モデル。最大解像度はXGA(1024×768ピクセル)で、最大輝度は300カンデラ/平方メートル。コントラスト比350対1は、同社の従来モデル(300対1前後)よりも高めだ。視野角は上下135度、左右160度。LL-M17W1と違い、こちらは自社製の液晶パネルを使用している。
AQUOSとの住み分けは?
TVチューナー内蔵のPC用液晶ディスプレイは、日本サムスンやナナオ、NEC三菱電機ビジュアルシステムズなどが数年前から展開しており、同社でもLL-M1500シリーズなどでTVチューナー搭載製品をリリースしている。
同社情報通信事業本部液晶ディスプレイ事業部副事業部長の高橋正光氏は「液晶ディスプレイの普及が急速に進んで、コモディティ化への道を歩み始めている。新たな事業展開として、従来のPC周辺機器として以外に、新規技術によるインテリジェント化で液晶ディスプレイ単独でも仕事をする“インテリジェントディスプレイ”の提案を考えている。今回の新製品は、その第一弾。当社のユーザーアンケートによると、映像の高画質化に対する要望に加えて、TVやビデオのようなマルチメディア機能へのニーズが多かったので、マルチソース対応の製品を用意した」と語る。
だが担当部署は異にするが、同社には看板商品として液晶TV「AQUOS」シリーズがある。TVもDVDも見れる液晶ディスプレイは、AQUOSのユーザーと競合しないのだろうか。
「AQUOSシリーズでは、TV映像に特化してチューニングされた専用の液晶パネルを使っている。今回の新製品も、TV映像は従来製品より格段に良くなっているが、TV専用のAQUOSにはまだ及ばない。逆に、新製品はPCの映像がキッチリ出ることを必須条件としている。TVの画質ももちろん追求していくが、あくまでもPC用ディスプレイの一機能であり、AQUOSとは利用シーンによって住み分けられる」(同社)
両機種の主な仕様は以下の通り。
型名 | LL-M17W1 | LL-M15X1 |
液晶パネル | 17インチワイドTFT液晶 | 15インチTFT液晶 |
最大解像度 | WXGA(1280×768ピクセル) | XGA(1024×768ピクセル) |
最大表示色 | 約1619万色(6ビット+FRC) | |
最大輝度 | 400cd/u(PCモード時260cd/u) | 300cd/u |
コントラスト比 | 600対1 | 350対1 |
視野角(上下/左右) | 170度/170度 | 135度/160度 |
応答速度 | 25ミリ秒 | |
ピクチャーインピクチャー機能 | ○ | ― |
画面サイズ設定 | ○ | ― |
画面静止機能 | ○ | ― |
PC入力 | ミニD-Sub15ピン×1 | |
映像インタフェース | ビデオ(RCAピン)×2、D1端子×1、S端子×1 | ビデオ(RCAピン)×1、S端子×1 |
消費電力(待機時) | 55ワット(1.5ワット) | 35ワット(1.5ワット) |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 432×184×373ミリ | 359×184×373ミリ |
重さ | 約5.9キログラム | 約4.4キログラム |
価格 | 9万円前後 | 5万5000円前後 |
発売時期 | 8月11日 | 9月29日 |
[西坂真人, ITmedia]
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