News 2003年7月28日 09:00 AM 更新

GIGABYTEがデスクトップPCマザーの日本独自規格を検討中

日本ギガバイトが7月26日にアキバで行ったプライベートイベント「GIGABYTE Expo in Akihabara 2003 Summer」では、未発表のマザーの展示やビデオカードが当たるビンゴゲームなどで盛り上がっていたが、その会場の片隅で行われたインタビューでも驚きの計画が明らかになっていたのだ。

 日本ではマザーボード、ビデオカード、ベアボーンなどのパーツベンダーとして、確固たる地位を築き上げたGIGABYTEだが、ネットワーク、サーバを始めとする企業系IT製品ビジネスも手広く展開している。だが、トップグループに成長した欧州市場と比べて、日本ではまだまだ認知度は低い。

 今年のGIGABYTEの組織変更にともなって、日本でもIT製品ビジネスを拡大していく方針は、すでにZDNetでも報道しているが、日本におけるビジネスパートナーとの打ち合わせで来日したITビジネスの総責任者であるマルコ・チェン氏(IT Product Sales Center General Manager)に、これからのITビジネスの展開について、インタビューした。


IT Product Sales Center General Managerのマルコ・チェン氏。マザーボード、ビデオカードといったパーツビジネス以外の領域は、チェン氏が掌握するIT Productの管轄になる

 周辺機器、本体PCビジネスにおいてもGIGABYTEの認知度が高い欧州市場と、パーツビジネスが突出している日本の市場は著しく異なっている、とチェン氏は開口一番に主張する。

 そんな日本市場の特殊性をチェン氏は「三つのBと一つのS」(3B&1S)と表現する(そういえば、GIGAGYTEはこの手の表現が大好きだ。マザーボードの特徴も“6-Dual”とアピールしている)。

 「日本の市場は、製品に対してBest Price、Best Quality、Best Functionを求める。ほかの市場ならBest Priceを満たしていれば十分で、QualityとFunctionは“Best”でなくても満足してもらえる。しかし、日本はすべてがBestでなければならない」。

 「しかし、製品で3-Bを実現したからといって、それで購入してもらえるわけでない。企業として十分なServiceを提供できなければユーザーは満足してくれない。GIGABYTEは、これらすべてを実現する“Full Range Provider”を目指していく」。

 これまでも、GIGABYTEはIT関連製品として、ベアボーン、ネットワーク機器を日本市場で販売してきたが、日本市場におけるIT製品拡張戦略の第一弾としてこれから投入するのが、ノートPC「極」(NB1401)。極ノートはPentium M/1.6GHz、14.1インチ液晶パネル(最大解像度1024×768ピクセル)、メモリ256Mバイト、HDD60Gバイト、DVD-ROM/CD-RWコンボドライブ内蔵の3スピンドルA4サイズ。チップセットにIntel 855GM、IEEE 802.11bをサポートしたCentrinoノートだ。


GIGABYTE Expo in Akihabara 2003 Summerで展示されていた「極」ノート。極は“ゴク”ではなく“キワミ”と読んで欲しいそうだ

 シルバーメタリックの筐体に大きく「極」!と筆書きされたデザイン(もちろん実際に黒々と筆書きされているのではなく、モールドされているわけだが)は、これまでのノートPCでは見たことない、強烈なインパクトを与えてくれる。

 しかし、スペック的には、すでにASUSTekなどライバルの台湾パーツベンダー系が販売しているCentrinoA4サイズ3スピンドルノートPCとそれほど変わらない。

 その理由としてチェン氏は「極ノートはインテルと共同で開発したので、どうしてもスペックが米国市場で広く受け入れられるものになった」という事実を明らかにしてくれた。なんと、この極ノートはインテルとGIGABYTEが共同で開発しているのだ。ノートPCのボディ金型の開発と製造はインテルが担当したらしい。

 インテルがノートPC本体の開発を行うのはなぜか。

 デスクトップ分野では、チップ市場だけでなく、マザーボードなどのOEMやリテール市場でもある程度の成果をあげているインテルだが、ノートPCの分野では、チップ市場では圧倒的なシェアを確保しているものの、OEMやリテール市場には手も足も出せていない状況だ。

 チェン氏によると、インテルは、現在ノートPCにおけるリテール市場への進出を考えており、その最初のチャレンジがGIGABYTEと共同で開発した「極」ノートとなるそうだ。

 省スペースベアボーンキットの分野では、日本でもGIGABYTEの認知度が高くなっているが、デスクトップPCでも、GIGABYTEは新製品を投入する予定になっている。と聞くと、4月に秋葉原で行われたプライベートイベント「GIGABYTE Expo 2003 Spring in Akihabara」で展示された省スペースPC「TAシリーズ」が気になるところ。春の発表以来、製品がなかなか登場してこなかったが、現在、GIGABYTEは、日本のベンダーと協力して新しいデスクトップPCの姿を模索している。


春のイベントで展示されていたTA2、TA4はSDRAMサポートということで、日本市場での投入は見合わされたらしい。実際に投入されるのは、FSB533MHzとDDR SDRAMをサポートした製品になる予定。PS2を思わせたTA2やTA4のデザインとは異なり、展示されていた新製品は「デル」的雰囲気を醸し出している

 その一つの方向性が、新しいマザーボードのフォームファクター。microATXよりも小さい170×170ミリのサイズを日本独自の規格に開発して、現在日本のPCベンダーに提案している。

 この新しいマザーボードには、グラフィックやICH5相当のインタフェースハブ機能を統合したワンチップのASICが実装される予定。9月にはエンジニアリングサンプルが出荷され、来年の第1四半期に量産製品を出荷するスケジュールで開発が行われている。

 「今年の目標は3−5Kオーダーの売り上げ」とチェン氏が意気込む日本におけるPC&周辺機器ビジネス。そのライバルは日本の大手PCベンダーではなく、「デル」(チェン氏)を見据えている。

 「彼らの強みは価格だけでなく、コールセンターやサポート、ロジスティクス。GIGABYTEは東京だけでなく大阪にもサポートセンターを設置するが、まだまだマンパワーが不足している。この問題を解決して、デルに対抗できるだけの陣容を確保していく」(チェン氏)


GIGABYTEが投入を予定している「自作PCワンボックスキット」。特許申請中のパッケージの中に、自作PCを組み立てるのに必要なパーツが、ケースを含めてすべて入っている

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[長浜和也, ITmedia]

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