News | 2003年9月22日 07:21 PM 更新 |
Intel、次の狙いは802.16a
ワイヤレス製品の半導体ベンダーとしては、まだフロントランナーとは言えないIntelだが、そこに金脈が眠っていることは十分に承知している。「ワイヤレス市場には大きなビジネスチャンスがある。Intelはそれを逃さない。プラットフォーム、ソフトウェア両面から技術的な整備を行っていく」というメッツァー氏の次のターゲットは、今年1月に仕様が固まったマイクロ波利用の中距離型ワイヤレスネットワークソリューション、IEEE802.16aだ。802.16aを用いた製品の相互運用性を高める業界団体、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)も既に立ち上がっている。
802.16aは主にラストワンマイル、つまり最終的なエンドユーザーをネットワークに接続させるソリューションとして考えられたもので、2〜11GHzの周波数帯を利用する。通信速度は最高75Mbpsで、基地局から最高で30マイル(約50キロ)の範囲をカバー可能だ。光アクセスラインの導入が遅れている米国において、ブロードバンドネットワーク普及の切り札として期待されているが、もちろん、一つの基地局で広い範囲をカバーできる802.16aは日本においても有効な技術と言える。
マイクロ波を利用した通信規格としては、これまで10〜66GHz帯を用いたFBWA(Fixd Broadband Wireless Access)向けとして802.16が存在。企業向けなどに一部ベンダーがサービスを提供していたが、WiMAXによる家庭向け製品の標準化はWi-Fiが無線LANの普及を推し進めたのと同じ効果を発揮するだろう。
普及が進めば、より安価な家庭向けサービスが提供可能になるだろう。メッツァー氏は「WiMAXなら、一つの基地局で多くのユーザーをブロードバンドネットワーク誘うことができる」と、広帯域の加入者線が増えない米国市場の状況を踏まえたブレークスルーとしての期待を込めた。
IntelはIDF期間中、Wireless Motor Coachと名付けられた、理想的デジタルホーム環境を社内に再現したバスを走らせたが、このバスはWiMAXで近くの固定基地局とつながり、高速でのインターネット接続を実現していた。
Intelは2004年の後半に、WiMAX市場にIntelの半導体製造能力を活かし、低価格かつ高性能なWiMAX対応チップを投入する見込み。メッツァー氏は2005年にはエンドユーザーが実際に購入できる製品が登場するだろうとの見込みを示した。
[本田雅一, ITmedia]
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