News 2003年9月29日 05:57 PM 更新

ネットシリコン ジャパンが高性能ネットワークMPUを発表

「NET+50」などエントリークラスのネットワークMPUを開発してきたネットシリコンが、32ビットのARM9を採用したハイエンドシリーズを発表。独自のバスアーキテクチャでパフォーマンスの向上を実現している。

 ネットシリコンジャパンは9月29日、組み込み用ネットワークコントローラの新製品「NS9750」「NS9775」を発表した。


発表会で展示されていたNS9750チップの表裏。NET+50やNS7520と比べるとかなりサイズは大きくなっている

 NetSiliconは、組み込み用イーサネットMPUのメーカー。2001年からは、日本法人のネットシリコンジャパンはが設立され、国内の活動を本格的に開始した。

 同社製品は、ARMをコアにした1チップのネットワークMPUに、組み込み用にチューニングされたリアルタイムOSやドライバ、ユーティリティーツールをセットにして出荷しているのが特徴。さらに、開発用のツールキットもNetSiliconが独自に開発して提供している。

 これまで同社は、ARM7をコアに搭載した「NET+50」をミドルレンジの主力製品として、よりコストを抑え10ドルを切るローエンド製品として「NS7520」を供給してきたが、今回発表されたNS9750は、これまで抜けていたハイエンドラインアップとして位置付けられており、より高性能多機能を発揮するために最高200MHzで動作するARM9コアを搭載している。

 NS9750のパッケージは352ピンのBGAでダイサイズは35×35ミリ。CPUコアは32ビットのARM926EJ-Sを実装して命令キャッシュ8Kバイトにデータキャッシュ4Kバイト用意している。


NS9750の内部構成

 チップには10/100BASEのイーサネットからUSB 2.0、GPIOなど11種類のインタフェースが実装されており、チップには内蔵されていない無線LANも、PCI/CardBusブリッジがサポートされているので、PCIカード、もしくはPCカードによって利用可能。

 NS9750のバスには、NetSiliconが開発した「分散DMAアーキテクチャ」が採用されている。これはデータ転送時にバス幅を有効に使い切る技術で、ARMが実装しているAMBAの機能に加えて、パラメータによって優先して転送するデータを指定したり、そのデータのために帯域を保証する機能が実現されている。

 NS9750は、コアの駆動クロックによって3種類の製品が用意されている。最上位は動作クロック200MHzで1万個出荷時の単価は19.95ドル。次は162MHzで同じく18.45ドル。最も廉価なのは125MHzで同じく14.95ドル。OEMに対するサンプル出荷は10月から開始され、チップを搭載した製品は来年1月に登場する予定だ。

 NS9775はNS9750の派生モデルで、複写機やカラーレーザープリンタなどのオフィスイメージング機器に特化して開発が行われている。

 NS9775は、352ピンのBGAでコアにARM926EJ-Sを搭載するなど基本的構成はベースモデルのNS9750とほぼ同じ。ただし、コアクロックは200MHzのみ。

 NS7950と最も異なるのは、JBIG画像展開機能をサポートしたカラーレーザープリンタインタフェースを内蔵するところ。100MHzで動作するAMBA AHBバスに接続したこの回路は、600×600dpiのカラー印刷で80ppmを可能にするパフォーマンスを発揮する。

 NS9775の価格は正式に決定していないものの、1万個出荷時における単価は、200MHz駆動のNS9750単価に5ドル上乗せされる程度。日本市場における出荷開始は2004年2月の予定になっている。


NS9775の内部構成

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[長浜和也, ITmedia]

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