News 2003年10月1日 09:10 PM 更新

新品川駅はロボットにも優しい?――「QRIO」が新幹線に乗った日

ソニーの2足歩行ロボット「QRIO」が、品川駅から静岡まで新幹線で旅した。珍道中をレポートする。

 ソニーの2足歩行ロボット「QRIO」(キュリオ)が10月1日、開業した東海道新幹線品川駅にやってきた。“2足歩行ロボとして世界で初めて新幹線に乗るため”だ。車内では車掌さんと話したり、窓の外に手を振ったり、たまには不具合で止まっちゃったりしながらも、静岡までの173キロを旅した。


10月1日開業の品川駅新幹線乗り場


品川生まれのQRIOが登場。4体とも形は同じだが、目と胸にあるLEDの色が違う。ブルーがマイペースなケン、オレンジが癒し系のマルコ、グリーンが目立ちたがりのチャーリーで、ピンクが唯一の女の子、オードリー。リーダー格のレッドも加えて5人戦隊にしてほしいところだ


「なんかわくわくしてきた」とケンが見上げた先にはリニアモーターカーの看板が。「ハイテクロボットがハイテク仲間のリニアに興味を持つ様子を表現した」(ソニー)。後ろのチャーリーは、無言でひたすら踊っている


ホームにて。ケンは「10月1日から、東海道新幹線品川駅が開業したんだよね。全列車が最高速度時速270キロで走るようになるんだよ。のぞみが大増発だね」などと、初めて新幹線に乗る割には妙に詳しい


新幹線が来た。スタッフに抱えられて乗車する。ホームと新幹線の隙間がQRIOの歩幅より小さければ自力で乗ることも可能なはず。しかし1分程度の停車時間では4体の自力乗車は難しく、断念


58センチの身長では、もちろん自力で座れないし、座ると足が床に届かない


ケンが差し出す切符を車掌さんが検札。滑らかな動きに周囲からは驚きの声も。検札後ケンが「車内販売はいつ来るんですか?」と聞くと、車掌さんは「もうすぐです」と答えたが、車内販売は最後まで来なかった。ケンが人間不信にならなかったか心配だ


「山が段々になってる」「あれは茶畑だよ。静岡は全国のお茶の生産高の45パーセントを占めているんだ」とトリビアを披露するケン(左)に「へぇー」状態のマルコ。この後静岡駅に到着、スタッフに抱えられて降車した

ソニーの「ハイテク」を伝える「親善大使」QRIO

 「ソニー技術を結集したQRIOを、日本のテクノロジーを代表する新幹線に乗せることで、ハイテクマシンのコラボレーションを表現する」というのがこの企画のコンセプト。ソニーから企画提案を受けたJR東海は、ロボットという未来に向けての技術が、同社の『AMBITIOUS JAPAN』キャンペーンの方向性と合致したため、要請を受け入れたいう。


TOKIOを起用した「AMBITIOUS JAPAN」のポスター。「のぞみは、かなう」というコピーが書かれている

 また「バリアフリーに設計された『人に優しい』新幹線品川駅は、ロボットにも優しいのではないか」(ソニー)との観測もあったが、人間用に作られた駅は、体長58センチのQRIOには少し大きすぎたようだ。改札の切符投入口には手が届かないし、歩幅が小さいため制限時間内に自力で車両に乗ることも難しい。

 さらに最新の駅構内は無線LANスポットとしても利用できる。ところがQRIOを無線で動かすにはこれが仇となり、電波が干渉してしまう。そのためアクションの度にスタッフが起動ボタンを手動で押すはめに。人間には快適な新品川駅も、当然ながらロボットの利用までは想定していなかったようだ。

 ソニーはこれを皮切りに、QRIOを起用したTVCM放映などのキャンペーンを予定している。「QRIOはソニーグループのコーポレートアンバサダー(親善大使)。QRIOをより多くの人に知ってもらうことで、ソニーの『ハイテク』で『クール』なイメージをたくさんの人々に伝えていきたい」(同社)。

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▼ QRIOの紹介サイト

[岡田有花, ITmedia]

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