News:アンカーデスク 2003年10月10日 09:10 PM 更新

っぽいかもしれない
やってみないとわかんない〜「MIXED FANTASY〜MRテクノロジーEXPO2003」(2/3)


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 “ほへっ”とするだけでは飽き足らないときに使うのがクリオネ。こいつは吹き出されるとそのまままっすぐ向こうに飛んでいく。壁にあたると跳ね返る。クラゲにあたるとクラゲがびっくりする。つまり、ちょっかいを出すための道具だ。

 クリオネもゆっくり吹けば大きくなるし、タンギングを使って“トトトトト”と吹けば、見事にそれに追従して“トトトトト”とクリオネが発射される。他の参加者に向けて吹くのもお約束だ。

 吹くデバイスってヤマハの電子楽器しか思いつかなくて聞いてみたのだけど、これは肺活量計に使われるセンサーを使っているのだそうだ。息の量によってきれいに電流値が変わる。これならAD変換すれば使えるなって。

 一般公開前ですいているのをいいことに何度かやらしてもらったのだけど、これは楽しいし、気持ちいい。そしてそれは、「ストローガン」の追従性の良さによるところが大きいのだ。ホントに吹いたのと同じ調子でシャボン玉は膨らむし、クリオネは発射される。もし、ここにほんのちょっとでも乖離感があったら、こんなに楽しくなかったと思う。

 ところで、キヤノンのMRものは、コンタクトウォーターも水族館も、海ものだ。「お好きなんですか?」って聞いてみた。そしたら、特に意識はしてなかったのだそうだ。でも、海のふわふわ感がMRと相性がいいってことはありそう。

  • 光学迷彩

 電気通信大学 稲見昌彦氏などによる。

 自分の表面にその背景と同じ映像を映し出すことで、自分の姿を消してしまうという技術。攻殻機動隊(*2)では、全方向全距離しかも自分で画像を表示という完成形を見せてくれるけど、まだまだそこまではいかない。「穴」から覗いたときだけだ。


ムービーはこちら(1.0Mバイト)

 この人の向こう側にカメラがあって、それで撮影した画像をコートに投影しているのだ。コートの生地は「再帰性反射材」。すべての方向から来た光は、その来た方向に反射するという素材だ。夜光ってみえる自転車のシールに使われているあれだ。

 観察者(「穴」)と、背景を撮っているカメラが離れているから、その視差を調整するために、間にコンピュータが挟まる。もし背景が無限遠だったら、この処理はいらない(といっても、現実にはそんなことはあんまりなさそうだ)。

 奈良先端科学技術大学院大学の天目隆平氏による。顔にHMD、頭にカメラとジャイロ、背中に機械、っていういかにもVRなスタイル。


 これを付けて歩き回ると、HMDには景色と一緒にそのとき見ているものに応じたインフォメーションが表示されるというもの。位置決めは屋外ではGPS、屋内ではあらかじめ設置された赤外線センサーを使い、補間のために歩数計測も使う。

 インフォメーションは、いわゆる案内はもちろんだけど、Virtualな建物を建ててしまうというのもあり。平城京に失われた朱雀門をたてて、周りを歩いたりくぐったりするというのもできるのだそうだ。

 産業技術総合研究所の興梠正克氏と蔵田武志氏による。


 こちらも、HMDを付けて歩き回ってインフォメーションを得るというものなのだけど、ずっと装置が小さい。こちらは、位置計測に加速度センサーによる移動量計測を主に使っているのだ。それも小指の先サイズで40円というような安いセンサーなんだそうだ。これで、得られたデータから、どのくらいきれいに移動量が取れるか、あるいはそのときの動作(歩いているのか、階段を上っているのか、エレベータに乗っているのかなどなど)を特定できるかというのが、いちばんの主旨(*3)。

 ただこれだけでは、誤差が積もり積もってどんどんずれてしまうので、ときどき「わかっている情報」を使って、位置情報をリセットしないと使い物にならない。最初は、画像認識によって、知っている景色が出たらそこでリセットするということを考えたのだけど、いまはむしろ、世の中に既にあるセンサー(カメラとか自動改札とか万引き防止のゲートとか)の情報を使えるようにできないかという考え方をしているのだそうだ。

 この技術は最終的には携帯電話のような「いつも持ち歩いているデバイス」(*4)で使えるようにすることを目指している。だから、とにかく小型化を目指しているのだ。


*2 言わずもがなの注を入れると、士郎正宗氏による「企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなるほど、情報化されていない近未来」を舞台にしたコミック。欄外に書き込みが多いことでも有名。
*3 特定の一人についてはかなり良いデータが得られている。個人差については(意外に少ないようだが)まだ研究途上。
*4 厳密な意味ではもちろん違うけど、携帯電話みたいなのも、これはこれでウェアラブルみたいなもんだ。実際、ケータイの画面を見ながらすたすた歩いているおねえちゃんを見ると、ウェアラブルってのはなんだったんだって気分になることも、ある。

[こばやしゆたか, ITmedia]

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