News 2003年10月29日 11:59 PM 更新

日本/韓国/台湾の三つ巴――「FPD International」に見る“FPD戦国時代”(2/2)


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 亀山の新工場ではマザーガラス基板サイズが1500×1800ミリと大型化(現在生産が行われている多気工場は640×880ミリ)され、1枚のマザーガラス基板からより多くの液晶パネル生産が行えるようになる。展示パネルのサイズ換算では、26インチが12枚、32インチが8枚、37インチが6枚取れる計算なのだが、この大型マザーのサイズをもってすれば実は60インチも2枚取りが可能。“世界最大”にこだわる韓国メーカーが50インチ超の液晶パネルを1枚取りでやっと作り上げているのとは対照的だ。

 「50インチ超の液晶パネルは、現在のTVニーズや歩留まりの面からも非現実的。単純にマザーガラス基板の大型化だけで液晶TVの単価ダウンにつながるものでもないが、亀山新工場の生産能力を持ってすれば、32インチクラスで“1インチ5000円”も決して夢ではない」(同社)

 また、PDP国内トップシェアの富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)は、今年8月の第3世代ALISパネル発表時にお披露目した55インチPDPを参考出展した。


富士通日立プラズマディスプレイが参考出展した55インチPDP

 FHPのPDPは、コスト面/生産性/小型・高精細化に有利なストライプリブ構造を特徴とし、42インチ以下をラインアップしてきた。だが、55インチは「e-ALIS方式」と名づけられた新パネルを採用。これは、前面板にこそALIS方式の共通電極構造を採用しているものの、背面板は従来の「ストライプリブ構造」から「格子状リブ構造」に変更されている。

 韓国勢のPDP競争が70インチ超に突入したことからも分かるように、PDPの世界では急速に大型化が進んでいる。だが、42インチ以下のクラスでは“インチ1万円強”をほぼ達成しているものの、50インチ以上はまだ高価で、さらに60インチクラスになると一気に価格が跳ね上がる。FHPでは、この50インチ超の大画面PDP市場で、55インチという他社にないサイズで攻勢をかける。

 「現在プラズマTVは、50インチが90万円前後、60インチが150万〜200万前後と、わずか10インチの違いながら価格差が大きい。この市場に55インチを100万円前後で出せれば、非常に競争力の高い商品となる。50インチとはわずか5インチの差だが対角では20センチ近くも大きく、見比べるとさらにそのサイズを実感できる。来年初頭には量産が開始される予定」(同社)

成長著しい台湾FPDメーカー勢

 近年、成長が目覚しいのが台湾メーカーだ。特に液晶分野では、同市場でリードしていた日本・韓国勢と同等の生産能力を持つ第5世代の液晶パネル工場を短期間で立ち上げ、その生産量はSamsung/LG/シャープといったトップメーカーを脅かすまでになっている。

 台湾最大の液晶パネルメーカーであるAU Optronics(AUO)ブースでは、1.5インチの携帯電話向けから30〜40インチ以上の大画面TV向けまで、幅広いラインアップのTFT液晶パネルを紹介している。


AU Optronicsブースでは、幅広いラインアップのTFT液晶パネルを紹介。デジカメ用の1.5/1.8インチでは業界トップシェアを誇るという


TFT液晶以外にも有機ELなど最新技術にも着手。ブースでは、1.93インチのデジカメ/携帯電話向け有機ELを参考出展していた


PDPも大画面50インチを参考出展するなど、その技術・開発力はあなどれないレベルだ

 また、台湾ChiMei Optroelectronics(CMO)も、1100×1300ミリの大型マザーガラス基板で月産12万枚という強力な生産能力を武器に、大型液晶TV市場に攻勢をかける。

 ブースでは、台湾メーカーとしては最大サイズとなる47インチのTFT液晶パネルを参考出展。HDTV対応で高輝度高コントラストの高性能パネルは、液晶TVのウィークポイントであった応答性を大幅に改善。応答時間は8ミリ秒と、CRTにせまるクラス最高レベルの高速応答性を実現している。


クラス最速8ミリ秒の応答時間を誇るTV向け47インチTFT液晶パネル。「歩留まりも高く、競合他社よりも低コストで提供可能。日本メーカーへのOEMの話もある」と同社担当者。来年夏頃には量産を開始するという


CMOブースでは、1ミリ秒以下の“超”高速応答を可能にする新技術を搭載した20.1インチ液晶ディスプレイも、デモンストレーションを交えて紹介していた

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関連リンク
▼ FPD International2003公式サイト

[西坂真人, ITmedia]

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