News 2003年10月29日 00:48 AM 更新

WinFX――Longhornが提供する「革新」の核心(2/2)


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 Indigoは従来的な概念のネットワークだけでなく、P2Pコミュニケーションやインスタントメッセージングなどのリアルタイムコラボレーションのサービスも統合。簡単にそれらの機能を利用しつつ、セキュアなアプリケーションとすることが可能になる。


Indigo

 開発のフレームワークも大きく変化する。APIの変化に伴うクラス構成の変化はもちろんだが、MicrosoftはC、C++、C#(Longhornらしいアプリケーションは、C#がもっとも得意という)に加え、XMLをベースにしたXAML(eXtensible Application Markup Language)という新しい開発言語・環境を発表した。

 XAMLはタグ言語で記述されるが、WinFXのフル機能を他の開発言語と同じように呼び出して利用できる。つまり、Webサービスの中にWinFXアプリケーションを混在させることが可能ということだ。アプリケーション開発者は、サーバサイドで実行させるサービスを、エンドユーザーのWindows上で、制限なくリッチなユーザーインタフェースを用いて構築できる。

 PDCの基調講演では実際にこの新しい開発環境を用いたWebサービスの例がデモンストレーションされたが、中でもAmazonがデモしたサンプルサイトは、WebサービスとAvalonを上手に組み合わせた好例だった。それは自社が提供している既存サービスを、ローカルのWindowsアプリケーションと同じような各種高機能のコントロールや3Dグラフィックスを利用したリッチインタフェースで利用可能にしたものだ。

 ほかにもリアルタイムコミュニケーションとドキュメント管理、リッチユーザーインタフェースを活用した、Webサービスとクライアントアプリケーションの融合をCase Builderというアプリケーションで示していた。

 これらの詳細は、追ってまとまった形で報告することにしたいが、想像通り、いやそれ以上に大幅な改修が行われることになりそうだ。特に重要なのは、アーキテクチャーをWin32の上位互換ではなく、新時代のAPIとして再構築し直していることだ。

まだあまりに遠いLonghorn

 WinFXのアーキテクチャーや、その開発フレームワーク、新しい開発言語の提供などは、Microsoftがソフトウェア開発ツールのベンダーであることを再認識させる。彼らの説明を聞く限り、Longhornの開発は従来よりもシンプルなものになる。会場に来ているソフトウェア開発者たちも、ポジティブな反応を示す人たちが多かった。

 しかし、Longhornへの道のりは、予定よりも遙かに遠いものになりそうだ。

 Microsoftは今年5月に行われたWinHEC 2003において、PDCの後、年内にはLonghornのβを完成させるとアナウンスしていた。実際、今年初め頃は、その通りのスケジュールだったのだという。β版が登場するということは、予定している主要機能がある程度そろい、仕様が固定される段階に至りつつあることを示している。

 従来のMicrosoftの例からすれば、β1でそのステージに達し、β2ですべての機能を実装。β3ではユーザーフィードバックを元にUIや機能に変更を加えつつ、使えない機能を絞り込むといった行程で進む。

 だが、オルチン氏はその予定を破棄し、β1の提供は来年後半になると発表した。ほぼ1年、スリップしたことになる。オルチン氏の前に講演したゲイツ氏は、2006年のPCについて言及しており、これらと合わせると早くても2005年いっぱい、場合によっては2006年になる可能性さえある(もっとも、従来からLonghornはその時期になるとの予想が多かった)。

 遅れたのはLonghornだけではない。今後のクライアントOSロードマップを見ると、来年第1四半期とされたAMD64向けのWindows XPの正式版出荷も、来年の後半にずれ込んでいる。


クライアント版Windowsの最新ロードマップ

 Microsoftはその原因について何らアナウンスしていない(そもそも“スリップした”とも話してはいない)が、逆にリリースが早まった製品もある。Windows XP SP2だ。Windows XP SP2は来年の中頃のリリースが予定されていたが、最近のセキュリティ問題に対応する必要性から、来年前半へとスケジュールが前倒しになった。

 どうやら、現時点でMicrosoftがもっとも優先しているのは、安全性や信頼性の高い製品を提供することであり、その処理のため、LonghornとAMD64版Windows XPのスケジュールをスリップさせた、というのが真相のようだ(また、WinHEC以降、MS Blaster騒ぎに人員を割かれ、Longhornの開発が思うように進まなかったという事情もあったという話もある)。

 今回提供されたLonghorn Developer Editionは、一通りのWinFX APIが実装され、その上でプログラムコードを書けばLonghornの機能を利用したアプリケーションが書ける、というレベルのものだった。完成までにはまだまだ長い道程があり、その間には紆余(うよ)曲折も考えられる。WinFXこそ固定されたものの、機能的にはまだまだこれから二転三転する可能性が高いと言えそうだ。



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[本田雅一, ITmedia]

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