News | 2003年12月17日 09:42 PM 更新 |
電子情報技術産業協会(JEITA)は12月17日に、2004年の電子工業生産見通しを発表した。民生用、産業用の電子機器や電子部品、デバイスを含めた全体では、2001年、2002年と連続してマイナス成長だったが、2003年の見込みでは約19兆823億円と前年度5.8%のプラス成長、2004年度も約20兆3137億円と6.5%のプラス成長の見通し。当初、今年の生産見込みは3.6%と予測されていたが、それを上回るプラス成長を達成する勢いとなっている。
JEITAは、デフレ傾向などの不安要因が依然として解消していないとしながらも、収益が改善の方向を示すなど、産業全体として景気が持ち直しているとの判断を示している。
2003年と2004年のプラス成長を支えているのが、液晶ディスプレイ、カーナビ、DVDビデオデッキ、携帯電話など。これら製品の出荷は好調で、この傾向は2004年も継続するとJEITAでは見ている。
昨年一昨年の大幅落ち込みから3年ぶりにプラスに転じた背景として、アジア向けの輸出改善と、デジタル家電を牽引役にしたデジタル機器の増産体制があげられる。一部では、2004年の後半に景気が後退すると予測もでているが、JEITAでは、電子工業の生産は2004年もプラス成長を継続するとの見方を崩していない。
長い間、電子工業生産額の大半を占めていたのは、PCや通信機器などで構成される「産業用電子機器」だった。しかし、ITバブルの崩壊後大きく落ち込み、変わって現在では「電子部品、デバイス」の生産額が半分を占めるようになっている。
この傾向は今後もしばらく続くと見られているが、現在、急激に成長して注目されているのが、映像機器、音声機器などで構成される民生用電子機器の生産。2003年見込みで前年度14.9%プラスの2兆2726億円、2004年見通しでも前年度11.5%プラスの2兆5330億円と予測されている。
民生用電子機器は、従来型製品の海外生産が進む一方で、高機能で価格も高いデジタル機器が大幅な伸びを示している。これらの高機能デジタル機器も海外に生産をシフトすると見られているが、JEITAでは本格的な以降を2005年以降と予測しており、2004年も引き続きプラス成長すると考えている。
これ以外にも、2004年はアテネ五輪や地上波デジタル放送などの影響、薄型テレビ、デジタル撮影機器の需要が欧州で伸びる状況も、2004年見通しの好材料となっている。
PCや通信機器で構成される産業用電子機器は、2003年の見込みでは前年度1.3%プラスの約7兆6031億円、2004年の見通しでも前年度1.6%の約7兆7249億円と、微増横ばいとなっている。
これは、携帯電話の需要回復や、地上デジタル放送のエリア拡張などで放送機材の需要が伸びる一方で、海外シフトが進み、かつ、コストパフォーマンスの向上によって製品単価が下落しているPCやサーバの生産額が依然としてマイナスになるためだ。ただし、PCやサーバ市場においても需要回復が見込まれるため、マイナス幅は縮小するだろうと、JEITAは説明している。
半導体、液晶デバイス、基板で構成される電子部品/デバイスの生産額は2003年見込みで前年度7.6%プラスの約9兆2066億円、2004年見通しで前年度9.2%プラスの約10兆558億円となっている。電子部品では、プラス推移は継続するものの、海外生産へのシフトなどで伸び率は緩やかであるのに対し、デジタル映像機器用のデバイス、IT関連投資の回復、プラズマディスプレイの需要増など、デバイス部門は二桁の伸びが見込まれている。
また、この発表にあわせて、地上デジタル放送受信機の11月における国内出荷実績も明らかにされた。JEITAの発表したデータによると、地上デジタルテレビ合計では約28万9000台、地上デジタルチューナーは2万2000台。あわせて31万1000台が出荷された。11月には民生用10インチ液晶カラーテレビの約3割、PDPの7割が地上波デジタル対応に使われたと、JEITAでは見ている。
また、2004年の生産見通しについても、大型カラーテレビの大半を占めると思われるPDPでは、総生産の4割が割り当てられる国内向けのほとんどが地上波デジタル対応になり、小型テレビでも、総生産の半分が割り当てられる国内向けの約半分が地上波デジタルに対応すると予測されている。
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[長浜和也, ITmedia]
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