News 2003年12月18日 10:28 PM 更新

DVDフォーラム幹事会のメンバーが3社増えて20社に

DVDフォーラムが、規格承認などを行う幹事会(Steering Committee)の新メンバーを発表。今後は20社で、難航が懸念されるHD DVD(AOD)書き換え型の規格化などに臨む。また、HD(High Definition)に対応した新たなビデオフォーマットの策定も始まった。

 DVDフォーラムはこのほど、規格承認などの最高決定機関である幹事会(Steering Committee)の新メンバーを発表した。

 新たに発表された幹事会のメンバー数は、従来の17社から3社増えた「20社」。従来のメンバーであった17社はすべて再任され、新たに「マイクロソフト」、「三洋電機」、「Walt Disney Pictures and Television」の3社が加わった。再選した17社は、日立製作所/IBM/Intel/ITRI(Industrial Technology Research Institute)/LG電子/松下電器産業/三菱電機/NEC/パイオニア/Philips/サムスン電子/シャープ/ソニー/トムソン/タイムワーナー/東芝/日本ビクター。

 DVDフォーラムでは、現在、波長405ナノメートルの青紫色レーザーを採用した次世代光ディスクの規格化を行っている。11月に開かれた幹事会では、東芝とNECが共同提案中のHD DVD(AOD)規格の中で、再生専用媒体(HD DVD-ROM)の「Ver0.9」規格が承認された。しかし、同時に提案中の書き換え型の規格「HD DVD-ARW(Advanced ReWritable)」は、わずか“1票差”で涙をのんだようだ。

 2004年2月25日には、新メンバーを加えた20社での初会合が開かれる。前回、承認されなかったHD DVD-ARW規格は、そのときに再度審議にかけられる予定。ただし、その規格化は難航する可能性もある。

 その理由は、幹事会のメンバーである20社中、10社がBlu-ray Discファウンダーズのメンバー会社であるのに加えて、同メンバー会社ではない日本ビクターも事実上のBlu-ray Disc推進メーカーであるためだ。このBlu-ray Disc陣営全社が反対票を投じると、次回の会合でもHD DVD-ARW規格は否決される可能性がある。

 ただし、HD DVD-ROM規格が承認されたときの幹事会から、DVDフォーラムにおける規格の承認方法が「保留をカウントしない」に改められた。それまでは、保留を有効投票(事実上の反対)としてカウントし、過半数の賛成が必要という厳しいものだった。

 これが、今回のHD DVD-ARW規格の承認にも有利に働くと思われる。だが、数の論理で不利であることも紛れもない事実。HD DVD-ARW規格の承認には、新たに加わった3社の取り込みが必要になることは間違いない。

 また、HD DVD-ROM Ver0.9が承認されたことにより、DVDフォーラムでは、HD(High Definition)に対応した新たなビデオフォーマットの策定も始まっているという。HDに対応した新しいビデオフォーマットは、再生専用とリアルタイムレコーディング用の2種類が策定される見込みだ。いずれも、従来のSD(Standard Definition)用のフォーマットを抱合する形で設計され、圧縮コーデックには、MPEG-2だけでなく、より高圧縮で高品位な映像が記録できるコーデックの採用が予定されている。

 新たに採用される映像コーデックには、H.264、Windows Media Video(WMV)、ハイビットレートのMPEG-2、MPEG-4とMPEG-2のハイブリッド版――、などが候補として挙がっているようだ。中でも有力とされているのは、H.264とWMVの2つ。複数の新しいコーデックを採用し、パッケージを製造するときに選択できるようにする方法も検討されているようだ。

 今回、WMVの開発メーカーであるマクロソフトが幹事会に加わったことが、映像コーデックの決定にどのような影響を与えるかが注目される。

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[北川達也, ITmedia]

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