12月10日、米国食肉加工製品大手のホーメルフーズ・コーポレーションは、「SPAM(スパム)」を日本市場で本格的に販売すると発表した。
スパムは豚肉の挽き肉にスパイスを練り合わせて加熱調理した缶詰だ。保存料を使っていないが常温保存でき、賞味期限は3年と長い。もともとは豚肉加工時に出る肩肉をうまく使いきるために考案されたもので、“Shoulder of pork and ham”(豚の肩肉ともも肉)を略してSPAMとなった。
1937年に登場したスパムは、米国ではきわめてポピュラーな食品で、「米国の99%以上の食料品店で販売され、1秒間に3缶売れている」(ホーメルフーズ)。第二次世界大戦時に米国兵の糧食となったことでも知られ、世界中で累計70億缶以上、毎年1億2200万缶以上が販売されているという異例のロングセラー商品だ。
韓国では贈答用としても人気があるなど、アジア各国でもスパムは広く販売されている。しかし日本ではこれまで、沖縄でしか積極的に販売されてこなかった。
沖縄では1人当たり、年間2.2キログラムを消費するというほどポピュラーなスパムだが、ほかの地域では一部輸入食品店で扱いがある程度で、ほとんど国内では流通していない。なぜこのタイミングで本格的に日本市場に上陸したのか? 「沖縄では1950年代後半から販売しており、日本全土で売りたいとは長らく思っていた。しかし日本市場は非常に複雑で、参入するのにお金がかかる市場。ここに入っていくには適切なパートナーが必要だ」(ホーメルフーズ・インターナショナルのリチャード・ブロス社長)
今回日本での本格販売にあたって、ホーメルフーズは伊藤忠商事と輸入代理店契約を結んでいる。「スパムはすでに沖縄の人々の友となっている。これを日本の人々の友にするのが目標。日本を米国に次ぐ、世界第2の市場にしていきたい」(同上)
日本市場では、スパムのレギュラータイプ(340グラム)が500〜550円程度で販売される見込みだ。日本市場でのターゲットは「30〜40代の主婦」。人気料理研究家のケンタロウ氏を起用し、公式サイトでのブログ執筆を依頼するほか、氏が出演するイベントなどを行う。また、バレーボールチームをスポンサードし、大会時に試食会を行うなどのプロモーション活動を行っていくという。
ところでスパムといえば、「スパムメール」、すなわち迷惑メールの通称となっていることでも有名だ。ホーメルフーズではこのことについてどのように考えているのだろうか?
「笑われようと、バカにされようと、それで(スパムという商品名が)口にされるなら気にしない。スパムの出荷数は、2002年から平均10.7%という高いレベルで伸び続けている。今年は35%だ。こんなに長らく成長し続けてこられたのは、迷惑メールのおかげかもしれないしね」(同上)
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