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» 2019年05月07日 07時03分 公開

マイクロソフトの逆襲 5G時代のIT覇権争い (2/2)

[産経新聞]
産経新聞
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VWと「コネクテッドカー」

 さらに注目したいのは、マイクロソフトが自動運転やコネクテッドカー(つながる車)といった自動車分野への足場を急ピッチで築き始めていることだ。

 独フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース最高経営責任者は2月末、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOとそろって会見し、VWが20年に発売する予定の電気自動車「ID.シリーズ」から、マイクロソフトのクラウド技術でコネクテッドカーサービスを提供すると発表。3月には仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の3社連合も、コネクテッドカーのデータ解析にマイクロソフトのクラウド技術の採用を決めた。3社連合はコネクテッドカーの車載システムでグーグルと提携していたが、マイクロソフトは世界販売トップ3のうち2つの自動車グループを自陣に引き込んだ形だ。マイクロソフトは続く4月も、独BMWとの提携関係を強化。クラウド技術による自動運転輸送システムや次世代の「スマート工場」の構築に共同で取り組むことで合意し、矢継ぎ早に布石を打っている。

主役になる可能性

 巨大な自動車産業の市場影響力は言うまでもないが、より重要なのは自動車が5Gとモノのインターネット(IoT)化による「第4次産業革命」の“本丸”だという点だ。

 5Gは現在の100倍の超高速、多数同時接続、超低遅延の通信環境を実現する。その特徴は瞬時の操作が必須の自動運転、さまざまな機器やロボットをネットワーク化して遠隔管理するスマート工場、人工知能(AI)を使った膨大なデータの分析といった産業モデルの革新につながり、暮らしを大きく変えていく。

 一方で、5Gの超低遅延を最大限に生かすデータ処理には、遠方のデータセンターではなく、より利用者に近いネットワークの「雲の端(エッジ)」でサービスを提供する「エッジ・コンピューティング」という新たな仕組みが求められるという。こうした産業革新とエッジ対応というクラウドの転機で優位に立てば、5G時代のITの主役になれる可能性があるわけだ。

 クラウド市場では、中国のアリババも世界展開を加速。AI半導体の開発会社も新設し、シェア拡大を虎視眈々と狙っている。

 マイクロソフトが再びITの巨人としてGAFAを切り崩すのか、中国アリババが米国勢の市場支配に風穴を開けるのか。5G時代の到来で“雲の戦い”は新たな局面に入る。(経済本部 池田昇)

 GAFA インターネット上で大規模なサービスを提供する「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の代表格4社。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムの頭文字を取った総称。

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