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» 2019年07月11日 05時49分 公開

東京国立近代美術館「高畑勲展」 アニメ史に刻んだ創造の足跡 (1/3)

日本アニメ史に名を刻んだ巨匠がどれだけ苦悩し、新たな表現を切り開いてきたかが伝わる展示だ。東京国立近代美術館(東京・竹橋)で開催中の「高畑勲展−日本のアニメーションに遺(のこ)したもの」は、半世紀以上にわたりアニメ界を牽引(けんいん)した高畑監督の初の回顧展となる。

[産経新聞]
産経新聞

 日本アニメ史に名を刻んだ巨匠がどれだけ苦悩し、新たな表現を切り開いてきたかが伝わる展示だ。東京国立近代美術館(東京・竹橋)で開催中の「高畑勲展−日本のアニメーションに遺(のこ)したもの」は、半世紀以上にわたりアニメ界を牽引(けんいん)した高畑監督の初の回顧展となる。懐かしい名作の設定資料や絵コンテなど1千点超を公開し、その多くが新発見だという。(本間英士)

photo 映画「火垂るの墓」をテーマとした展示。設定資料やイメージボードなどが見られる (c)野坂昭如/新潮社、1988
photo 若き日の高畑監督が記したメモ「ぼくらのかぐや姫」(写真左)と、レポート「竹取物語をいかに構成するか」
photo 高畑勲氏

常に新しい作画

 展示は高畑監督の生前から企画されていたが、昨年4月の急逝を受けて回顧展の意味合いを持った。自宅の遺品から段ボール18箱分の制作資料が見つかり、同館などが精査。同館で漫画・アニメ関連の展示が行われるのは、平成2年の「手塚治虫展」以来となる。

 演出助手時代の「安寿と厨子(ずし)王丸」(昭和36年)から、遺作となった「かぐや姫の物語」(平成25年)までの資料展示は主に4章構成。(1)制作を始めた1960年代(2)70年代の名作テレビアニメ(3)80年代以降、舞台を日本に据えた作品(4)新たな描法に挑んだ「かぐや姫の物語」−などとなっている。

 高畑監督はアニメ史の中でどのような存在だったのか。同館の鈴木勝雄主任研究員は「戦後日本のアニメーションの形式や文法を作りあげてきた“革新者”だった」と総括する。

 「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」では、衣食住や自然との関わりを丹念に描写。子供たちの日々の暮らしを生き生きと描いた。その後、日本を舞台にした作品に特化。「おもひでぽろぽろ」「平成狸(たぬき)合戦ぽんぽこ」など、日本の風土や庶民の生活をつぶさに表した作品を制作した。

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