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» 2019年11月01日 18時50分 公開

データ分析で新風巻き起こせるか 日本の卓球をデータで強化 (2/2)

[産経新聞]
産経新聞
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世界1位を撃破

 2019年2月10日に横浜文化体育館で行われた木下アビエル戦。17年からチームを指揮する三原孝博監督(43)は「データがいかに重要かが分かった」と振り返る。

 シングルスの1番手として登場した加藤美優(20)は石川佳純(26)とのエース対決に0−3で敗れた。しかし、マッチカウント2−2となり、1ゲームで勝敗を決めるビクトリーマッチで再戦。分析データを基にした「徹底してサーブをフォア側に短く出し、バック側にツッツキを集めるように」との三原監督の指示が奏功し、加藤は11−7で雪辱を果たした。

 池袋コーチがこれまでに蓄積したデータは、Tリーグに所属していない選手も含め、約50人分。日本ペイントの所属選手が世界各地で行われるワールドツアーに出場する際も、過去の試合を約10分間に短縮した映像を無料通信アプリ「LINE」で送っている。7月にマレーシアで行われた賞金大会「T2ダイヤモンド」では、加藤が世界ランキング1位の陳夢(中国)を破る金星を挙げたが、実は加藤の要望で、陳夢のサーブの場面だけを切り取った映像を事前に渡していた。

 ふだんの練習でも映像機器を駆使している。卓球台を縦と横方向から撮影。モニターで遅延再生し、その場で自身のプレーを確認できる。「自分ではこうだと思っていても、映像で見ると違う。選手は自分の長所は過大評価するが、短所は過小評価する傾向がある」と池袋コーチ。主将の松平志穂(24)は「以前は感覚でプレーしていたが、体が前に突っ込んでいるかどうかも、映像で分かるようになった」とうなずく。

データ分析の環境を

 池袋コーチは「日本スポーツ振興センター」(JSC)の分析スタッフとして、12年ロンドンとリオの両五輪での日本代表の躍進を支えた。五輪で得たノウハウをTリーグに生かしてもらおうとラブコールを送り続けた三原監督は「選手たちが指導者になったとき、データ分析を当たり前にできる環境をつくっていきたい」と将来を見据える。

 日本代表がワールドカップ(W杯)で史上初の8強に進出したラグビーなどの他の球技と比べ、「卓球はまだまだデータ分析が進んでいないし、分析できる人材も少ない」と池袋コーチは指摘する。そのうえで、チームとして現在取り組んでいるのが、試合終盤で競り合った際の相手攻略法だ。「競った場面ほど、各選手の強みや弱みが出やすい」(三原監督)からだ。現在、日本ペイントはTリーク女子の3位につける。「分析力」が実を結んで接戦をものにできれば、上位進出の可能性もぐっと高まる。

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