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» 2019年12月02日 11時00分 公開

政府、SNS各社にフェイクニュース対策を要望 政府の介入は「極めて慎重であるべき」と自制

総務省は、インターネット上のフェイクニュース対策のため、プラットフォーマーの自主的な取り組みを促す方向性を示した。表現の自由を萎縮させる懸念があるため、政府の介入には慎重な姿勢を見せた。

[産経新聞]
産経新聞

 総務省の有識者会議は29日、SNS(交流サイト)などインターネット上に流れるフェイク(偽)ニュースへの対策についての論点整理案をまとめた。SNSなどを運営する「プラットフォーマー」と呼ばれるIT企業に対して法規制を打ち出すのではなく、自主的な取り組みを促すことが柱となる。国内外のIT企業や政府関係者らで構成する協議体を設置し、取り組みの状況をチェックすることなども示された。

photo 総務省=東京都千代田区(斎藤浩一撮影)

 年明けに最終報告書をまとめる。フェイクニュースをめぐっては選挙の公正性をゆがめたり、国家の安全保障を揺るがす恐れがあるとして各国が規制に動いている。ただ、今回の論点整理案は「表現の自由」の観点から「政府の介入は極めて慎重であるべき」と言及し、法規制ではなく、自主規制を基本に対策を進めることになった。

 具体的には、プラットフォーマーがフェイクニュースと判断して情報を削除する際の基準をあらかじめ明確にして公開。削除の際は実際に対応した結果について公表し、苦情処理なども体制を整備して適切に行うことが望ましいとした。

 官民でつくる協議体ではこうした取り組みの進捗を随時共有する。透明性の確保や説明責任を果たすことで、利用者を含めた関係者のチェック機能が働けば、「本来の自浄作用につながる」(有識者)とみる。

 対策にはニュースが事実かどうかの判別も重要で、第三者機関によるチェックを活性化させたい考えだ。こうした機関への支援策についても今後検討する。

 フェイクニュースをめぐっては、2016年の米大統領選や17年の仏大統領選に際し、SNSなどで候補者を攻撃する真偽不明の情報が拡散し、問題になった。これを受け、フランスでは選挙時のフェイクニュース対策の法律が成立。ドイツやシンガポールなどでも相次ぎ規制法が成立している。

 一方、日本では一昨年の熊本地震の際、ツイッターに「動物園からライオンが逃げた」との嘘の文章とライオンの画像が投稿され騒動になった。もっとも、海外と比べれば深刻な問題になったケースは少なく、表現の自由を萎縮させる懸念も踏まえ「最初から規制をつくって前のめりになる必要はない」(総務省担当者)との判断になった。

 だが、有識者からは「自主規制のみではうまく機能しないのではないか」との意見も出るなど、日本の対策がどこまで実効性を伴うかは不透明だ。このため、論点整理案では自主的な取り組みが不十分だったり、効果がないと認められる場合には「行政からの一定の関与も必要ではないか」として、政府の介入も含め段階的に対応を強化していくことも視野に入れる。

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