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» 2019年12月04日 07時00分 公開

デジタル教科書、普及が進まない理由 (1/2)

2019年4月から小中学校での利用が解禁されたデジタル教科書だが、導入をためらう自治体も多い。情報量が多いことや拡大できることなど利点がある一方で、費用面で課題がある。

[産経新聞]
産経新聞

 タブレット端末などで利用できる学習者用の「デジタル教科書」が2019年4月から全国の小中学校で使えることになった。文字の拡大や読み上げ機能で、文字を追うことが難しい子どもも理解しやすく、立体的な画像や動画の副教材は児童生徒の学習を支援する。一方、解禁から半年がたつが、導入に二の足を踏む自治体も多い。普及拡大への課題も見えてきた。 (木ノ下めぐみ)

photo デジタル教科書の特徴

全ての子どもの学習手助け

 デジタル教科書は紙の教科書と内容は同じ。重要な文章にハイライトで線を引いたり、ページに直接要点を書き込んだりもできる。

 文字色や書体、背景色の変更ができることから、学習障害で文字が認識しづらい子どもにとって読みやすくなる効果が期待される。音声の読み上げや、ページを拡大する機能は視覚障害のある子どもの学習に役立つという。

 全ての漢字にふりがなを表示する「総ルビ」機能もボタン1つで切り替えができる。光村図書出版ICT事業本部の森下耕治・普及促進部長は「急増する外国にルーツのある子どもへの指導方法が教育現場で課題となっている。デジタル教科書なら全ての子どもへの手助けができる」と力を込めた。

 タブレットにはデジタル教科書の内容と連動するアニメーションやグラフィックなどのコンテンツ「デジタル教材」も副教材として内蔵されている。理科の実験の手順や算数の図形の展開など文章や平面では分かりづらい学びが可能だ。

 「ちょっと結晶格子をみてみようか」

 一足先に平成25年からデジタル教科書を導入している大阪府東大阪市の近畿大学付属高校の化学の授業。乾武司教諭(56)が指示すると、生徒たちは端末に内蔵された副教材を開いた。規則的に並んだ結晶構造の立体的な図が映し出され、「回転開始」のボタンを押すと図がゆっくりと回る。紙では確認できない裏側の粒子の様子も表示されていた。

 乾教諭は「これまでは黒板に絵を描くなどして生徒の理解を促してきたが、デジタル教科書のほうが、生徒もイメージをつかみやすいようだ」と話す。「情報量も多く、便利なので授業以外でも柔軟に使うようになった」という。

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