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» 2019年12月17日 07時00分 公開

インドに導入予定の日本式新幹線に暗雲 地元の反対やコストで及び腰 (1/2)

インド初の高速鉄道計画では日本の新幹線方式が採用されているが、用地確保やコストの面で課題があり、日本企業は及び腰になっており、インフラ輸出については戦略の見直しが迫られている。

[産経新聞]
産経新聞

 インド初の高速鉄道計画に採用が決まっている日本の新幹線方式の事業化に、暗雲が立ちこめている。反対運動で土地収用が難航。車両システムの受注が有力視される日立製作所や川崎重工業は、インドが現地生産にこだわる中、採算性を危ぶむ。こうした状況に、傘下の日本コンサルタンツ(JIC)が設計支援などで協力するJR東日本は「及び腰」になっており、官邸主導のインフラ輸出は戦略の見直しを迫られている。

photo インドが建設を計画している高速鉄道のムンバイ駅の完成予想図。日本の新幹線方式が採用されている(JICA提供)

地元が反対

 「おおむね5割程度と聞いている」。JR東の担当者は、インド側が進める用地取得状況をこう語り、開通時期についても「確定した目標はない」と歯切れが悪い。

 同計画では、インド西部の最大商業都市ムンバイとアーメダバード間の約505キロメートルを、在来線特急の3分の1となる約2時間で結ぶ。東京〜新大阪間の約552キロより少し短い距離だ。

 2015年12月の安倍晋三首相とモディ首相の首脳会談で、新幹線方式の導入で合意した。総事業費は9800億ルピー(約1兆8000億円)で、23年の完成を目指している。

 当初は、仏企業が鉄道メーカーのアルストムの受注を念頭に事業化調査したが、高速鉄道の巨大市場を狙って日本が官民一体のトップセールスに出て逆転受注した。中国覇権を牽制(けんせい)したい日印両国首脳の思惑が一致した格好だ。

 だが現地では、建設予定地のグジャラート州の地元住民らが、政府による土地収用の中止を求める申し立てを裁判所に行うなど反発が続く。

 それでも、年明けには20から構成される入札パッケージのうち、車両の入札申請が始まる予定だ。日本側は、日本企業の受注を条件に、事業費の約8割を0.1%という好条件の円借款で低利融資する万全の支援体制を敷いた。

 車両は、JR東日本の東北新幹線「はやぶさ」に使われている「E5系」の導入が予定されており、受注先としてE5系の開発を担当した川崎重工業と日立製作所の名前があがる。

 川重の兵庫工場(神戸市)の新幹線車両製造現場には16年11月、モディ首相が視察に訪れている。川重は17年6月、インドの大手重電メーカー、バーラト・ヘビー・エレクトリカルズ(BHEL)と高速鉄道車両の製造に関する協業で合意。高速鉄道車両の共同受注を目指す。

 川重の幹部は「ゴーサインが出ればいつでも動ける状況にある」と強調する一方で、「きちんと利益が上がらなければやる意味はない」とも述べた。参入にあたっては、インド高速鉄道の採算性を十分に精査する考えを示す。「安全保障分野も含めた日本とインドの関係強化のため」といった理由だけでは手を出せないというのが本音だ。

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