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AIブームは熱狂から平静へ? 19年のAI業界から未来を占うマスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(1/4 ページ)

» 2020年01月08日 07時00分 公開

 2019年、AIを取り巻く環境は目まぐるしく変化し、技術の進歩、企業での活用事例、組織や人材論など幅広いテーマが話題になりました。そこで「技術から事例」「採用から育成」「不足から飽和」という3つのテーマで19年を振り返り、20年はどうなりそうか考えてみたいと思います。

注目されるのは、技術から事例へ

 ここ数年続いた急激な技術の進化ですが、話題性としては落ち着きを見せてきました。

 自動的に機械学習モデルを作成するツールの「AutoML」や、自然言語処理技術の「BERT」、ディープフェイクによる画像や動画生成などが話題になりましたが、これらは19年以前に発表された技術です。

 19年は技術の進歩よりも、ビジネスでどのようにAIを使いこなして事例化するかが話題になりました。大手企業からAIによる自動化・省力化の事例がいくつも発表され、業務時間削減などの成果が出ていることが示されています。

 これまでは、社長などの経営層がAI活用を突然思いつき、部下に導入を丸投げする「いきなり!AI」が問題になっていましたが、19年は「業務課題の解決に向け、RPAなどと組み合わせて導入する」という現実的な事例が増えました。

 もっとも、社長の興味関心がAIから別分野(DXや量子コンピュータなど)に移っただけかもしれませんが、ステーキがいきなり出てくるお店も19年に失速しているので、時代の変化なのでしょう。

 成功事例が発表される裏では失敗事例も存在しており、その数は成功事例を大きく上回ります。PoCで止まり本開発に進まない「PoC貧乏」や、打ち合わせ・検討で止まってしまう事例も多数存在します。

成功事例のピラミッド

 このように表で華々しく語られる成功事例に対して、失敗事例は隠蔽(いんぺい)されてノウハウや原因などは共有されません。このような状況に至った背景を探ってみましょう。

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