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» 2020年01月15日 07時00分 公開

車を“走るセンサー”にして交通情報を取得 五輪時の渋滞対策に向け実証実験

東京五輪・パラリンピック時に想定される渋滞への対策として、走行中の自動車から得られる情報をビッグデータとして活用する実証実験が4月に始まることが分かった。これにより、従来の2.3倍の道路で交通情報が取得できるようになり、小規模な道路でも渋滞回避に必要な情報が手に入るようになる見込みだ。

[産経新聞]
産経新聞

 東京五輪・パラリンピックの渋滞対策で、走行中の自動車を“走る渋滞センサー”として首都圏の渋滞情報網を倍増させる、官民連携の実証実験が4月に始まることが13日、分かった。現状は道路側の固定センサーから情報を得ているが、自動車やカーナビゲーションのメーカーが取得しているリアルタイムのビッグデータを統合。首都圏道路のカバー率は3割から最大7割と飛躍的に向上するため、回避ルートなどの対応が取りやすくなり、大会期間中の渋滞抑制に大きな一手となりそうだ。(今村義丈)

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 現在、公益財団法人「日本道路交通情報センター」(JARTIC)と一般財団法人「道路交通情報通信システムセンター」(VICSセンター)が提供している渋滞情報は、警察や自治体、高速道路会社などが道路側に設置した無線機器「ビーコン」で検知する情報がベース。ただ、設置はもともと渋滞が起きやすい路線や幹線道路に偏り、定点情報しか得られない。このため、今回の実験対象の1都6県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬)では高速道・一般道計約6万キロのうち3割(約1.8万キロ)しか対応できていないという。

 実験では、主要メーカーがカーナビなど車載通信機で独自に取得している車両の時刻・位置・速度のリアルタイムデータ「プローブ情報」を、匿名化したビッグデータとして提供してもらう。これでカバー範囲は最大7割(約4.2万キロ)と2.3倍に増加。全国に4千万台以上あるVICS(道路交通情報通信システム)対応カーナビ搭載車のドライバーは、従来は情報が表示されなかった小規模な道路の渋滞も分かり、回避しやすくなる。

 メーカー各社は自社の車データで独自サービスを加えている状況だが、集まるデータが増えればルート検索精度が高まり、社会全体の渋滞や排ガス、二酸化炭素のさらなる抑制も期待される。

 実験は五輪・パラリンピック終了後の秋までの予定だがVICSセンターは「結果を踏まえた上で本格実施につなげ、首都圏以外に広げたい」としている。

 ただ、実験中、追加情報が受信できるのはカーナビのみ。ラジオやWebサイトの渋滞情報には反映されないという。

 大会組織委員会などは期間中、首都高速道路の交通量を最大30%減らし通常の休日並みにする目標を掲げる。首都高の都内料金を日中最大で1千円上乗せする仕組みなどを導入する考えで、4月からの実証実験との相乗効果が期待される。


 VICS(道路交通情報通信システム) ビークル・インフォメーション・アンド・コミュニケーション・システムの略。ビーコンなどから収集したさまざまな道路情報を、カーナビにリアルタイムで提供・表示する官民共同システム。渋滞のほか高速道路の所要時間、通行止め区間、駐車場の満車・空車などの情報を提供。1996年の首都圏での開始を皮切りに2003年に全都道府県に拡大した。日本道路交通情報センターが警察などから収集した情報を、VICSセンターがカーナビ向けに編集・提供している。

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