ITmedia NEWS >
ニュース
» 2020年01月20日 07時00分 公開

楽天市場の送料無料化に出店者は反発 三木谷社長は「問題はない。予定通りに導入する」

楽天の通販サイト「楽天市場」で導入予定の送料無料化基準に、出店者らの反発が続いている。一方、三木谷浩史会長兼社長は「問題はない。予定通りに導入する」と強気の姿勢を見せている。

[産経新聞]
産経新聞

 楽天が通販サイト「楽天市場」で、一定額以上を購入すると送料を無料にする統一基準を導入することに対し、出店者らの反発が続いている。2019年10月に参入予定だった携帯電話事業でも、試験サービスの段階で通信障害や誤請求などの不祥事が相次いでおり、経営上の不安の種となりかねない。

photo 楽天の携帯事業記者発表会で、独自開発のスマートフォンを発表する三木谷浩史会長兼社長(早坂洋祐撮影)

 楽天は2019年末、楽天市場で3980円以上購入した利用者を対象に、商品の送料を一律無料にする制度を3月18日に導入すると出店者側に通知した。

 送料を巡っては、出店者ごとに設定されており、利用者からは「支払総額が分かりにくい」といった声が挙がっていた。中には、商品価格を安く表示して検索されやすくする一方で、送料を割高に設定する出店者もおり、利用者からは不評だった。

 送料無料の基準は高く設定すると、1回当たりの購入額は上がるが、新規の顧客獲得が減る傾向にあり、設定の基準が難しい。楽天によると、実証実験では基準を3980円にした場合、新規顧客数と購買額が両方とも15%程度伸びたという。

 ただ、送料の基準が統一されれば、今後は送料を含めた価格を表示するため、出店者は価格に転嫁するか、送料分を負担せざるを得ない。数百の出店者らでつくる任意団体「楽天ユニオン」は今月下旬、署名を公正取引委員会に提出する予定だ。出店者側は、独占禁止法で禁じている「優越的地位の乱用」に当たるとしており、公取委の判断が注目される。

 競合するアマゾンジャパン(東京)では、有料会員らに直販商品などを無料で届けるサービスを行っている。楽天も対抗策を迫られており、統一基準の導入を撤回しない方針。三木谷浩史会長兼社長は「問題はない。予定通りに導入する」と強気を崩さない。

 三木谷氏のこうした姿勢は、予定より半年間参入が遅れた携帯電話事業でも同様だ。

 2019年10月から5000人規模で始まった試験サービスでは、同12月に通信障害が発生するなど、基地局整備の遅れや情報公開の不備について計4度の行政指導を受けた。三木谷氏は、正月の参拝が恒例になっている愛宕神社(東京都港区)で、「順調に進んでいっている。公的なサービスなので、万全には万全を期して二重、三重、四重の手だてを打って、安定的なサービスを提供できるように頑張りたい」と自信を見せた。

 楽天の携帯電話事業における自前回線は、東京23区と名古屋、大阪市の限られたエリアのみで、それ以外はKDDI(au)の回線を借りている。自前回線とauの回線の切り替えで通話が途切れたり、高層階では電波が弱かったりといった欠点はある。

 しかし、国内、海外でも使い放題のサービス内容には、通信速度などを含め、参加者の不満は小さい。大手3社に比べて格安の料金体系を提示すれば、評価が変わる可能性もある。

 楽天は6月、第5世代(5G)移動通信システムの開始も予定している。携帯大手3社は3月にも一足早くサービスを開始するが、三木谷氏は「たかだか3カ月なので、あまり意味はない。5Gの商用化というのは、中長期的なものなので、1カ月、2カ月遅れても別に大した話じゃない」と悠然と構える。

 ただ、他社の回線頼みの携帯電話事業について、4月の本格参入がさらに後ろ倒しとなれば話は別だ。携帯電話事業をてこに、本業の通販事業や金融事業を拡大させる「楽天経済圏」の青写真にも影響が出かねない。(経済本部 高木克聡)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.