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» 2020年02月19日 07時00分 公開

講義丸ごと即文字化 アプリとネットで変わる、耳の不自由な学生向け「ノートテイク」の今 (1/2)

聴覚障害のある学生のために講義内容を要約筆記する「ノートテイク」は音声の文字おこし技術やネット環境の向上で変わりつつある。これまで拾い切れていなかった教員の小話が聞けたり、遠隔地から支援ができたりとさまざまなメリットがあり、当事者からは好評だという。

[産経新聞]
産経新聞

 聴覚障害のある学生のために講義内容などを要約筆記する「ノートテイク」の方法が変わりつつある。障害者差別解消法は障害のある人への「合理的配慮」を求めており、ネット環境の整備や新たなテクノロジーの登場が、講義内容の細部まで伝えることを可能にした。得られる情報量は格段に増え、耳の不自由な学生の学びを深めている。(木ノ下めぐみ)

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先生のジョークも

 教壇に立つ教員の発言が瞬時に、耳の不自由な学生のタブレット端末に文字表示される。誤認識された単語もあるが、補助につく学生2人が自分のスマートフォンから正しい文字を打ち込むと、タブレット上の文字に反映された。音声を文字化する無料アプリ「UDトーク」を使った新しいノートテイクの方法だ。

 近畿大学(大阪府東大阪市)は2019年度から、このアプリを導入。19年秋には、サポートする学生を募るためにアプリ体験会を開催した。

photo 近畿大学が導入した、音声を文字化するアプリの体験会。タブレットに職員の発言内容が表示される=大阪府東大阪市

 参加者の一人で、これまで手書きでノートテイクのサポートをしていた3年の谷口聖菜さん(20)は「文字を書くのが追い付かずもどかしさがあったが、アプリで伝えられることが増えた」と話す。

 手書きだと講義内容の要約になることが多く、サポートを受ける側の4年、千田あかりさん(22)もアプリの活用で得られる情報量が圧倒的に増えたといい、「学べているという感覚を強く持てるようになった」と喜ぶ。こぼれ話なども把握できるようになり、「周囲が先生のジョークに笑っているのに、自分だけ分からなくて蚊帳の外にいるようだったが、UDトークが学びたいと思う活力になった」。

 近畿大によると、体験会で約60人がサポート学生に新規登録したといい、障がい学生支援課の阿久さやかさんは「アプリとサポート学生の両輪で、障害のある学生の受け入れ増加に対応したい」と話す。

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