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» 2020年02月25日 07時00分 公開

保釈制度見直し本格化、被告へのGPS装着が焦点に ゴーン氏の逃亡きっかけに

保釈に関する刑法改正が法制審議会に諮問され、保釈制度の見直しに向けた動きが本格化する。カルロス・ゴーン被告の逃亡事件をきっかけに、GPSを被告に装着させるシステムの導入が議論の焦点となる。

[産経新聞]
産経新聞

 保釈中の被告への逃走罪適用を含む刑法改正などが21日、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問され、保釈制度の見直しに向けた動きが世論の求めに応える形で本格化する。GPS(衛星利用測位システム)を使った行動監視についても審議される見通しだが、GPS導入には課題もあり、紆余(うよ)曲折も予想される。(大竹直樹)

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 保釈中の被告が逃走したり、再犯に及んだりするケースは後を絶たない。背景には、裁判所が保釈を広く認める傾向を加速させていることが挙げられる。実際、全国の地裁、簡裁が保釈を許可する割合(保釈率)は2003年の11.4%から18年には32.1%と3倍近くに増加している。

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 一審で実刑判決を受け、逃亡の恐れがありながら再保釈を認められるケースも少なくなく、法曹関係者からは逃亡を防ぐための法整備を求める声が上がっていた。保釈保証金を没取することで公判への出頭を確保する現行制度は、限界にきているとの見方だ。

 元検事の高井康行弁護士は「このまま保釈緩和の流れが進めば、逃走事案は増えることはあっても減ることはない」と指摘。法制審での審議については「不出頭罪の創設やGPS装着の可否、当否について密に議論を進め、速やかに結論を出してほしい」と話す。

 審議の焦点はGPSを使った被告らの行動監視だ。森雅子法相は1月16日、諮問を前に有識者から意見を聞く勉強会を設置し、検討を重ねてきた。

 ただ、GPSで被告を常時監視する場合は人権上の問題が懸念される他、各地に監視要員を確保しなければならない。監視主体を、保釈を許可する裁判所とするか、法執行機関である検察当局とするかなど、検討課題は山積している。

 法務省内で実際に検討されているのはアラートシステムだ。海外逃亡の恐れが高い被告にGPSを装着し、空港など特定の場所に立ち入った場合に警告を発する仕組みという。

 保釈条件で海外渡航禁止とされた日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)は19年末、音楽コンサート設備用の箱に身を隠して関西国際空港のエックス線検査をすり抜け、プライベートジェットで不法出国した。今後の逃亡を防ぐためにも、GPS導入に向けた有意義な議論が期待される。

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