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» 2020年03月02日 07時00分 公開

新型肺炎、回復後の患者が再び陽性に なぜ

感染拡大を続ける新型コロナウイルスだが、感染が確認された患者が回復後のウイルス検査で再度陽性になるケースが発生し、波紋を呼んでいる。専門家によると、快復後も肺にウイルスが残っていて増殖してしまった可能性があるとの見方を示している。

[産経新聞]
産経新聞

 感染拡大を続ける新型コロナウイルスの厄介な性質が明らかとなりつつある。大阪府では、感染が確認されたガイドの女性が回復後のウイルス検査で「陰性」となったにもかかわらず、再び「陽性」に転じる国内初のケースが発覚。集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも、陰性で下船したはずの乗客の感染報告が相次いでいる。なぜ、こんなことが起きるのか。

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 大阪府の女性は中国人旅行客のガイドを務めた後の1月29日に感染が分かったが、治療で回復したため今月1日に退院した。せきの症状が出た6日の検査では陰性。その後、19日から喉の違和感と胸の痛みを訴え、26日の検査で再び陽性となった。

 体内に侵入した新型ウイルスは、喉などの上気道の他、肺などの下気道でも増えるとされる。山野美容芸術短大客員教授で医学博士の中原英臣氏は「(治療で回復した後も)ウイルスが肺に残っていて増殖してしまった可能性がある」と分析。「治療後に十分な免疫ができていなければ、再び感染する恐れも残る」との見方も示す。

 同様のケースは中国でも確認されており、広東省では、肺炎の治療後に退院した患者の14%から再び陽性反応が出たという。

 27日の衆院予算委員会で今後の対応を問われた加藤勝信厚生労働相は「(陽転化の)可能性もあることを念頭に置きながら、情報発信したい」と話した。

 一方、クルーズ船では22日以降、検査で陰性だった乗客が下船後に陽性となるケースが栃木、徳島、千葉の各県で4件相次いだ。こうした事例は、潜伏期間中で見落とされたか、船内の感染防御対策が不十分で、検査後に乗客にウイルスが拡散していたかといった複数の可能性がある。

 クルーズ船では集団感染が判明した5日以降、乗客に個室待機を求め、19日まで14日間の健康観察措置を取った。ただ、重症化リスクのある高齢者や持病を抱えた乗客の早期下船を迫られた結果、17日までに乗客全員の検体を採取し、陰性だった人の下船を19日から始めた。本来なら健康観察期間を経て行うことが望ましい検査が前倒しされたことで、一部の感染者が見落とされた恐れもある。

 東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)は「潜伏期間中に検査が実施されていた場合には、ウイルス量が少なく、陰性の結果が出たこともあり得る」と語る。

 クルーズ船の感染者を調査した国立感染症研究所は、5日以降も船内で感染が続いていたとの見解を公表しており、検査後に感染した可能性も残る。

 厚労省は下船した乗客に2週間の外出自粛などを要請しているが、今後も陽性となるケースが続くことが想定される。

 一度陰性となった人から感染が広がる危険性はあるのか。大阪大の朝野和典教授(感染制御学)は「どれぐらいの時間、他人への感染力が残るのか。今後調査をしなければ分からない」と話している。

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