ITmedia NEWS >
ニュース
» 2020年03月04日 07時00分 公開

携帯3社も楽天参入で値下げ必至 寡占市場に風穴、新たな局面に

楽天が4月に始めるMNOサービスの料金プランを発表をした。既存の他社サービスの半額以下の価格設定のため、3大キャリアは対応を迫られそうだ。3社の寡占状態が崩れ、今後の価格競争が活発化するとみられる。

[産経新聞]
産経新聞

 楽天が4月に本格参入する携帯電話サービスで、原則としてデータ通信量に上限がないプランを月額2980円と携帯大手3社の大容量プランの半額以下で提供することになった。赤字覚悟で価格競争を仕掛け、他社からの乗り換えを促すのが狙いで、携帯大手もプラン見直しで対抗することが必至だ。楽天が第4の携帯電話事業者として値下げ競争を活発化させれば、3社横並びで寡占状態だった国内携帯市場は新たな局面を迎えそうだ。

photo 携帯電話大手3社などの看板=東京都千代田区

 「革新的というか衝撃的な価格戦略を実現している」。楽天の三木谷浩史会長兼社長は3日の記者会見で自画自賛した。

 楽天は新規参入の申請に際して政府に公約した「大手の半額」という料金水準を達成した形だ。総務省幹部は「いよいよ、これから価格競争が始まる」と2006年にソフトバンクが携帯市場に参入して以来の大きな変化を期待する。

 大手3社の主力の大容量プランは価格設定の基準が各社で異なるが、NTTドコモが月額6980円、KDDIとソフトバンクが7480円だ。家族との同時加入や光回線とのセット割引などを活用すれば最大3000〜4000円安く済むが、「楽天はそれよりさらに安く、顧客獲得が進むだろう」とMM総研の横田英明常務は指摘する。

 携帯料金の見直し議論は政府が主導してきた。菅義偉官房長官が18年8月に「4割値下げの余地がある」と発言したことをきっかけに、19年10月には端末の値下げ幅や2年縛りの違約金に上限を設けて利用者が乗り換えやすくするなど、価格競争を促すための環境整備を急ピッチで進めた。

 だが、蓋を開ければ、この1年の価格競争はドコモが割高だった料金を他社並みにしたくらいだった。各社とも値下げの余力を残しながら19年10月に参入するはずだった楽天のプランを様子見する状況が続いたが、楽天の本格参入が延期になり値下げを急ぐ必要性はなくなった。

 「4社になればシェアが安定的ではなくなり、競争の原理が働きやすい」と総務省幹部は3社でシェアの9割を占める寡占に風穴を開け、国民負担を軽減することに執念を燃やす。ベンチマークにするのはフランスだ。3社寡占が続いた市場に12年にフリーが参入し、携帯料金は5年ほどで半額以下になった。

 今後の焦点は大手3社がどのような対抗策を示すだ。「インパクトはある。これからいろいろ考えなければならない」とNTTドコモの幹部は語る。各社とも楽天に対する消費者の反応を見極め、値下げなどに動くことになりそうだ。

 だが、各社が今月から商用サービスを始める第5世代(5G)移動通信システムを使ったサービスでは、データは使い放題が一般的となり料金も現行の大容量プラン並みか高くなる見通し。「楽天対抗で4Gの料金を値下げすれば、5Gが高く見えてしまい、普及しなくなる」(KDDI関係者)とのジレンマもあり、各社を悩ませそうだ。(万福博之)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.