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» 2020年03月31日 07時00分 公開

教師と生徒がSNSでつながり問題に SNS制限や、教員のスマホ利用制限など対策も

近年、教師と生徒がSNSでつながりトラブルになるケースがあることを受け、岡山県や静岡県では「SNS上で教師と生徒がつながるのを制限する」「教師のスマホ持ち込みを禁止する」など、さまざまな対策がとられている。

[産経新聞]
産経新聞

 岡山県で3月、20代の女性中学教諭が教え子の男子生徒を自宅に招いてキスをするなどしたとして、懲戒免職処分を受けた。2人を結び付けたのはSNS(会員制交流サイト)。スマートフォンの無料通話アプリのLINEだった。

photo 岡山県庁

個別指導の末に……

 県教育委員会によると、2人が面識を持ったのは2019年4月。同月下旬から放課後に男子生徒の個別指導をするようになって親密になり、女性からラインの交換を迫って男子生徒が応じた。そして同5〜6月、女性の自宅で男子生徒とキスなどのわいせつな行為を、複数回したという。

 女性は同12月、警察の聴取を受け、校長に相談したことで発覚した。県教委側の聞き取りに対し、女性は「LINEでのやりとりを通じて、好意を持つようになってしまった」と話し、男子生徒への恋愛感情があったことを認めたという。

 県教委の担当者は「わいせつ行為は、児童生徒に取り返しのつかない傷を負わせることになる。スマホのSNSはその発端になる」と危機感をあらわにする。

 県教委は女性の懲戒処分を発表した際、わいせつ行為などの根絶に向けた「行動指針」を策定し、県下の小中高校など全公立校484校に通知したことを明らかにした。

 これまでも教員に対しては児童生徒とのSNS上のつながりを禁止していたが、「細則は学校ごとのルールで運用していた」(県教委の担当者)といい、これを強化。児童生徒と個人的なつながりを持つ機会を遠ざけるための行動規制に踏み込み、「個人のスマホを必要なく校内で持ちあるくこと」を禁止。「フォローリクエストの承認」や「アカウントを伝える」など、児童生徒とSNSでつながる際の手順について、具体的に一つ一つ禁じた。

教員もスマホ持ち込み禁止

 スマホやSNSで教員と生徒がつながることによる弊害については、各地の教委で対応に頭を悩ませている。

 このうち、学校内で教員がスマホを利用することを原則禁止としたのは静岡県浜松市教委。同市では、男性教諭が女子生徒にSNSを通じて「好き」「会いたい」などメッセージを頻繁に送ったとして6カ月の停職処分を受けるなど、19年8〜10月だけで5件の懲戒処分があった。

 こうした状況を受け、市教委は「教職員のSNS利用に関するガイドライン」を策定。個人使用のスマホは職員室などで管理し、児童や生徒が活動する場所には持って行かないことなどを定めた。

 教諭が授業で私用のスマホを使うケースもあり、外部からも「時代に逆行している」などと批判を受けたりしたが、市教委の担当者は「一律禁止ではなく、原則禁止。必要に応じて認めている。良識あるスマホの利用をしてくださいという意味合いだ」と理解を求める。

 スマホを使う場合は、教頭など管理職の許可を得て使用できるようにしているという。

処分教員をチェック

 警察庁の統計によると、19年1年間にSNSを使って性犯罪などの被害に遭った18歳未満の子どもは2082人(前年比271人増)で過去最多を更新。うち中学生は847人(223人増)に上った。被害児童が最も多かったサイトはTwitterで、2位は「ひま部」、3位が写真共有アプリ「Instagram」で、LINEは4位に入った。子供の被害防止にSNS対策を取ることは重要だ。

 一方、悪質な行為をして懲戒免職となった元教員については抜け穴もある。現行法では教員免許は3年で再申請が可能で、別の都道府県で再就職することもできる。

 このため文部科学省は、官報に記載された教員免許の失効情報をまとめたデータベースを作成。18年度に本格運用を始めた。20年1月の公開分については、2月7日時点で750件の利用があったという。

 文科省の担当者は「利用は着実に増えている。採用権者たちの意識が高まっているのではないか」と分析。子供を守ろうという意識は高まっているようだ。

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