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» 2020年05月18日 07時00分 公開

「カメラを止めるな!」制作チーム、在宅勤務で撮影 映画にかける監督の思い

映画監督の上田慎一郎さんが在宅勤務で完成させた「カメラを止めるな!リモート大作戦!」が話題だ。上田監督は、「明るい娯楽作品を作って皆さんに届けたい」「経営の危機にひんしている映画館を救おう」といった思いを胸に、映画を制作していた。

[産経新聞]
産経新聞

 映画監督の上田慎一郎(36)が、俳優と顔を合わせずリモートワーク(在宅勤務)で完成させた「カメラを止めるな!リモート大作戦!」が話題だ。劇場映画の公開が相次ぎ延期となる中、在宅勤務で映像作品を作りオンラインで配信すると、いち早く声をあげていた。その思いを上田監督に、オンライン会議システムを通じて聞いた。(聞き手 石井健)

photo オンライン会議システムで取材に答える上田慎一郎監督

 <ミニシアター(小規模映画館)から人気に火がついた上田監督の「カメラを止めるな!」(以下「カメ止め」)は、2018年の話題作。今回の「リモート大作戦!」は、「カメ止め」の主人公たちが、ネットテレビの番組を在宅勤務で制作しようと奮闘する姿を描いた約28分のコメディー作品。4月13日に制作を発表。5月1日にYouTubeで公開し、視聴回数は35万を超え、「元気が出た」「泣いちゃった」などの感想が寄せられている>

 こんなときだから明るい娯楽作品を作って皆さんに届けようと決めたのが4月3日。翌4日には、あらすじなどを書き上げていました。

 在宅ではまともな撮影ができないことは分かっていましたが、できるかどうかじゃなくて、やるか、やらないか。オンライン会議システムやスマートフォンで俳優が撮影した映像を組み合わせれば大丈夫だろうと走り出しました。僕自身、3月までは元気がなく、この作品を作ることは自分を救う行為でもありました。

 作品の中では、主人公の映像作家が役者たちに在宅で“自撮り”させた動画を編集するのだけど、背景が違うなど、映像がうまくつながらない。実際に役者たちに自撮りしてもらいましたが、求めたのは劇場映画の品質ではなく、自撮りのつたなさも含めた「味」でした。

 お金がなくてもオンライン会議システムとスマホさえあれば誰でも制作できることを伝えたかったこともあり、制作費に関するご提案は全てお断りしました。役者らへの報酬は僕の会社などが負担していますが、今回は基本的にビジネスは度外視しています。

 一方で、この映画の特典映像の視聴権をオンラインの「ミニシアター・エイド基金」のリターン(見返り)にしました。「カメ止め」は、2館のミニシアターでの上映から出発。いま経営の危機にひんしている映画館を救おうという運動の一助になりたい。

 映画は非日常を描くものですが、現実においてこのような非日常がこれほど長く続くと、今後の映画は生半可な非日常じゃ成立しないでしょうね。あるいは、映画は日常を描くことを求めるようになるのでしょうか。

 僕はいまは、シナリオを書くなどして過ごしています。目の前のことに全力で取り組めば扉は必ず開きます。


 〈うえだ・しんいちろう〉 1984年生まれ、滋賀県出身。中学生の頃から自主映画を撮る。2015年、オムニバス映画「4/猫」の1編「猫まんま」で商業デビュー。初長編「カメラを止めるな!」が18年に大ヒット。「カメ止め」には派生作品「ハリウッド大作戦!」(31年)があり、今回の「リモート大作戦!」は派生第2弾。ほかに「スペシャルアクターズ」(19年)、中泉裕矢、浅沼直也監督と共同監督で「イソップの思うツボ」(同)。

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