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» 2020年05月21日 07時00分 公開

執拗な本人特定、デマの拡散……ネット私刑、コロナ禍で過熱 (1/3)

新型コロナ禍で“ネット私刑”が加熱している。感染者の個人情報をネット上にさらし、誹謗中傷を行う人もいる。このような行為は罪に問われることもある。デマの拡散による被害も深刻で、ネットユーザーは自制心を持って情報発信を行う必要がある。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルスに感染したことを隠して高速バスに乗った山梨県の20代女性に対して「コロナをまき散らしている」などとインターネット上で批判が集中し、実名や顔写真とされる真偽不明の情報が公開される事態に発展した。事件や災害が起きるたびにこうしたネット上での行き過ぎた誹謗(ひぼう)中傷は繰り返されており、2019年には、あおり運転事件の共犯者と名指しされた無関係の女性が同様の被害を受けた。コロナ禍で外出自粛や休業・休校が続く中、不安やストレスのはけ口として、いわゆる「ネット私刑」を容認する空気がまん延しかねず、専門家は警鐘を鳴らす。(大渡美咲)

photo 帰省先の山梨県で新型コロナウイルス感染が判明しながら東京に戻った女性が高速バスに乗り込んだ富士急ハイランドのバス停=同県富士吉田市(渡辺浩撮影)

個人情報さらし

 この女性の感染について山梨県が発表したのは5月2日。県の当初の説明によると、女性は県外からの来訪自粛が要請されていた4月29日に、同県内の実家へ帰省。同僚の感染が判明したためPCR検査を受け、その後の1日に高速バスで東京に戻り、2日に陽性だと確認された――とされていた。

 だがその後、女性が陽性だと知りながら高速バスに乗っていたことが判明、報道されると批判が集中した。県には女性に関する苦情・問い合わせが200件以上寄せられた。「女性の行動についての情報をさらに開示すべきだ」という内容や、県の対応を非難するものもあった。

 それ以上に激しかったのは、ネット上での批判だ。真偽不明だが、女性本人のものとされる名前や顔写真、SNSアカウントの他、卒業アルバムなどが次々と出回り、それらの情報をまとめた「トレンドブログ」も登場した。

 女性の勤務先としてネット上で名指しされた飲食店が、Webサイト上で「当社関係各位に新型コロナウイルス感染者は確認されていない。この風評被害に関しては、法的措置も視野に厳正に対応していく」と反論するなど、余波は広がった。

 《山梨コロナ女》《逮捕しろ》《まだ何か隠している》。ネット上には、女性を誹謗する内容が今も残る。

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