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» 2020年06月02日 07時00分 公開

将棋の記録係にリコーのAI採用 人手不足解消、コロナ対策にも (1/2)

将棋の指し手を記録する棋譜をAIによって自動的に作成するシステムが公式戦で初導入された。記録係の不足や3密の回避に役立つ一方、「頭で盤面が隠れて認識できなくなる」「秒読み出不具合が出る」など課題はまだ残る。

[産経新聞]
産経新聞

 将棋の指し手を記録する「棋譜」をAIによって自動的に作成するシステムが公式戦でこのほど初めて導入された。棋譜を書き取る記録係が無人化でき、新型コロナウイルス感染拡大防止の「3密」解消にも期待される。一方、棋士独特の動きなど想定外の事態への対応なども課題となっている。

photo 対局者は指した後、「対局時計」のスイッチを押すことで消費時間も同時に記録される=5月16日午前、東京・千駄ケ谷の将棋会館(日本将棋連盟提供)

天井にカメラ設置

 日本将棋連盟では年間3000局以上の公式戦で棋譜を残している。公式戦の記録係は通常、棋士養成機関「奨励会」の会員(棋士の卵)や女流棋士が担当。将棋盤の横に座り、両対局者の指し手と消費時間を記録している。

 しかし、近年は学業優先で高校や大学に進学する奨励会員が増えるなど記録係を務める人員が減る傾向にある。「叡王戦」や「ヒューリック杯清麗戦」といったタイトル戦の新設などで公式戦の増加も拍車を掛け、記録係の確保が早急な課題となっていた。

 同連盟は記録係の人員不足解消を模索。そうした中で同連盟と事務機器大手のリコーが「リコー将棋AI棋譜記録システム」(リコー棋録)を共同開発した。

 システムはこうだ。天井に設置されたカメラが真下にある将棋盤を映し出す。対局者が指して動いた駒をAIが自動的に読み取り、記録していく。

 将棋には持ち時間があり、対局者の消費時間も記録しなければならない。今回、「リコー棋録」と連動した「対局時計」も開発。対局者が指すたびに時計の専用スイッチを押すことで消費時間が計測・記録される。残り時間が少なくなると、自動音声で「秒読み」も行うことができる。

 将棋にはこの他、同一局面が4回繰り返されると引き分けとなる「千日手」や、同じ縦の列に歩を2枚打つ「二歩」などの反則もある。これらも認識し、記録は中止される。

 2019年7月から女流タイトル戦「リコー杯女流王座戦」で、記録係の置いた上で実証実験を重ねてきた。その結果、実用性が高いと判断され、本格稼働に踏み切った。

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