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» 2020年07月28日 07時00分 公開

「なぜ生きなければ」ALSの女性、ブログにつづった苦しみ 医師の嘱託殺人容疑事件 (1/2)

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者に薬物を投与し殺害したとして、2人の医師が嘱託殺人容疑で逮捕された事件。事件で亡くなった女性は開設したブログに「なぜこんなにしんどい思いをしてまで生きていないといけないのか、私には分からない」などとつづり、ALS患者として生きることの苦しさを1年以上にわたってつづっていた。

[産経新聞]
産経新聞

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者に薬物を投与し殺害したとして、2人の医師が嘱託殺人容疑で逮捕された事件。事件で亡くなった女性は開設したブログに「なぜこんなにしんどい思いをしてまで生きていないといけないのか、私には分からない」などとつづり、ALS患者として生きることの苦しさを1年以上にわたってつづっていた。

 事件で死亡した女性=当時(51)は建築を学ぶため米国留学し、帰国後は東京の設計事務所で働いたが平成23年にALSを発症。実家のある京都に戻り、ヘルパーによる24時間介護を受けながらマンションで1人で暮らしていた。

photo 山本直樹容疑者

 身動きや会話はできないため、眼球の動きで操作できるパソコンを使用。30年5月3日、開設したブログの最初の記事のタイトルは、「早く楽になりたい」。唾液がうまくのみ込めず、一日中むせてせき込む様子を書き記し、「助からないと分かっているなら、(中略)本人の意識がはっきりしていて意思を明確に示せるなら、安楽死を認めるべきだ」と訴えていた。

 事件後、取材に応じた父親は、女性から「死にたい」などと打ち明けられたことはなかったという。活発ではっきり物を言う性格で、海外旅行や留学に飛び回っていた女性。だが、ブログには安楽死を切望する言葉がつづられていた。

 同月27日の投稿のタイトルは、「安楽死が救う命」。「先に待っている『恐怖』に毎日怯えて過ごす日々から解放されて、今日1日、今この瞬間を頑張って生きることに集中できる。『生きる』ための『安楽死』なのだ」と安楽死を肯定し、「確実に患者の精神的な意味でのQOLは上がるだろう」と強調している。

 約1週間後のブログでは、「病状が進行して窒息するのを待つ生活がまともな人権を得られているとは思えない」と主張。スイスなど安楽死が認められている欧米と、認められていない日本との違いに疑問を呈していた。

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