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» 2020年08月06日 07時00分 公開

「ゲーム実況」テーマの小説 武田綾乃さん新作「どうぞ愛をお叫びください」 (1/2)

『響け!ユーフォニアム』の作者である武田綾乃さんの新作『どうぞ愛をお叫びください』は、ゲーム実況をテーマにした青春小説だ。YouTuberとして活動する4人の男子高校生の会話や努力、ネット上のトラブルなどの文字化にチャレンジした作品だという。

[産経新聞]
産経新聞

 <YouTuberやろうぜ>――。インターネット上で人気の「ゲーム実況」をテーマにする先駆け的な青春小説だ。作者は『響け!ユーフォニアム』シリーズなどを手掛けた作家の武田綾乃さん(27)。新作『どうぞ愛をお叫びください』(新潮社)は、現代の若者が慣れ親しむ動画文化を扱いながらも、どの世代にも共通する思春期の“心の震え”が色彩豊かに描かれている。(本間英士)

photo インタビューに答える作家の武田綾乃さん=東京・矢来町の新潮社(酒巻俊介撮影)

リアルな「舞台裏」

 ゲーム実況って何だろう。こう思った人にこそ、本作をおすすめしたい。

 YouTuberは動画配信サイト「YouTube」で自作動画を公開する人のこと。そして、この10年ほどで広まった「ゲーム実況」は、YouTuber自身がテレビゲームなどを楽しむ様子を撮影した動画のジャンルを指す。もちろん、撮った動画をそのまま流すわけではない。舞台裏では膨大な作業時間と血のにじむ努力が必要なのだ。

 「大人の中には、『子供が何を見ているのかよく分からない』と思う方もいるでしょうが、しっかり作られたコンテンツはどの世代の方にも面白さが分かるもの。なぜ子供たちが心ひかれるのか、どれだけの労力をかけて動画が作られているのかを伝えられたら」

 物語の主人公は、気弱な男子高校生の松尾(ばしょー)。社交的な幼なじみの織田(ノブナガ)から「YouTuberやろうぜ」と誘われたことから物語は動き出す。2人は見た目が怖いクラスメートの坂上(田村まろ)、クールな先輩の夏目(そうせき)に声をかけ、4人組ゲーム実況グループ「どうぞ愛をお叫びください」を結成。カッコ内の表記はYouTuberとしての活動名である。

 ゲームを通じて仲を深める4人。会話もいかにも男子高校生がしそうな他愛もない話といった感じで面白い。著者自身、普段からゲーム実況に親しんでいるという。軽妙な投稿動画の裏側に潜む努力、投稿動画が初めてバズった(ネット上で話題になる)ときの高揚感、それに伴うネット上の悪意もリアルに描かれる。執筆の際、4人のキャラクターとその関係性を大切にしたという。

 「どういう動画が登場するか。どのメンバーの人気が出るのか。4人だからこそ出せる空気感……。“積み重ね”を重視しています」

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