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» 2020年09月08日 11時00分 公開

全国43都道府県の消防がドローン保有、課題は操縦者育成

災害現場での活用を見据え、警察や消防でドローンの導入が進んでいる。一方で、急務となっているのが操縦者の育成だ。公的な免許制度がない、技術の引き継ぎができない、はい実以外に運用できないなど、さまざまな問題が浮かび上がっている。

[産経新聞]
産経新聞

 災害現場での活用を見据え、警察や消防で導入が進む小型無人機「ドローン」。7月に発生した九州豪雨災害でも、被害状況の迅速な把握に威力を発揮した。一方で、急務となっているのが操縦者の育成だ。高知市消防局はそうした課題を解消しようと、奈良先端科学技術大学院大(奈良県生駒市)などと連携し、消防職員向けの講習会を開催。「操縦者を育て、24時間体制の運用を目指したい」としている。

  (前原彩希)

photo ドローン操縦者の育成を目的に、消防職員らが受講した講習会の様子(高知市消防局提供)

43都道府県の消防本部が保有

 奈良先端大と高知市北消防署、同市中央消防署をテレビ会議システムで結び、ドローンに関わる法律や操縦方法などについて学ぶ講習会が7月に開かれた。受講したのは両消防署に勤務する約60人の消防職員。ドローンインストラクターの資格を持つ企業の担当者が講師を務め、10月には第2弾として操縦方法を学ぶ実技講習が開かれる予定だ。

photo 講習は高知市消防局の2消防署をつなぎ、オンラインで実施された=奈良県生駒市

 ドローンが活用されているのは、測量や物流、空撮映像など多岐にわたる。総務省消防庁は2019年3月末までに、全20政令指定都市に消防ドローンを配備。順次、追加配備を進めており、ドローンを保有している消防本部の数は17年度=70(9.6%)▽18年度=116(15.9%)▽19年度=201(27.7%)――と年々増加し、現在は43都道府県の消防本部が保有しているという。

 一方、マニュアルの未整備や操縦者の不在などの理由で、実際に運用している本部は176にとどまる。喫緊の課題は操縦者の育成だ。ドローンには公的な操縦免許がなく、各地の民間団体やスクールが講習を行っている。各地の消防職員はスクールに通って法令や技術を学び、同僚らに教えるなどの方法を取っており、消防庁の担当者は「操縦者育成に課題があり、悩んでいる本部は多い」と話す。

高知市消防局の取り組み

 高知市消防局では4人の操縦者がおり、火災現場での状況把握などに活用している。だが、いずれも事務職員のため、平日しか運用できないのが現状だ。さらに操縦できる職員が他部署に異動したり、知識や技術をうまく伝えられなかったりと育成の難しさを感じていたという。

 同消防局の無人航空機指導育成担当、山本篤史消防統括(47)は「操縦者を育て、どの場面で飛ばせるか、また難しいかの判断を共有できるようにすることが大事」と説明。その上で「救助活動中の殉職事故を防いだり、水難事故の現場にドローンで浮輪を運び、要救助者の安全を先に確保したりできるようになれば」と期待を寄せる。

 奈良先端大客員准教授を務める大阪工業大の樫原茂准教授(44)は、高知工科大や同消防局などと連携し、公衆無線LAN「Wi-Fi」や近距離無線通信「Bluetooth」を感知するドローンを開発。空撮映像と電波情報の双方を駆使して遭難者を探し、捜索活動を円滑に進める研究に取り組んでいる。

 樫原准教授は「現場と協力し、ニーズに合うものを作ることができれば。高知市消防局の取り組みをロールモデルとして、他の消防局にも生かしたい」と話している。

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