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» 2020年09月14日 07時00分 公開

専門家に聞く、SNS「裏アカ」特定サービスの注意点と問題点 「なりすまし」どう対応? 就職差別懸念も

企業の採用活動をめぐり、応募者のSNSのアカウントを特定するサービスが話題だ。調べられる側は匿名アカウントからでも名誉毀損などに注意して投稿をする必要があり、調べる側は就職差別にならないよう気を付ける必要がある。

[ZAKZAK]
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 企業の採用活動を巡り、応募者のSNSの「裏アカウント」を特定するサービスが話題だ。匿名の「裏アカ」で企業の悪口など、よからぬことをつぶやいてもチェックされてしまうというのだ。“匿名アカウントで言いたい放題”という社会人は人ごとではないかもしれない。調べる側と調べられる側、それぞれの注意点と問題点を専門家に聞いた。

photo そのツイートが命取りになるかも……(写真はイメージ)

 企業の社内調査や取引先の信用調査を請け負う「企業調査センター」が開始したというサービスは、採用活動を行う企業向けに、応募者の「就活用アカウント」ではなく、匿名で見つかりにくい「裏アカウント」も調べるとしている。

 「特定率88%」をうたい、完全成功報酬制だというのだが、匿名のアカウントを特定することは可能なのだろうか。

 ITジャーナリストの三上洋氏は「個人情報を伏せた匿名のSNSでも、大学や地元の友人とつながっていれば、絞り込むことは可能だ。複数のSNSを横断するとさらに手掛かりが集まることもある。ネット上の匿名は完全ではないことを理解するべきだ」と語る。

 一方で三上氏は調査する側がどこまで本人のアカウントだと特定できるのかとも疑問を呈する。

 「別人になりすましたアカウントが故意に悪質な投稿を繰り返すケースもある。本人に確認しなければ特定したアカウントが正しいとはかぎらないのではないか」

 また、弁護士の高橋裕樹氏は「企業が応募者のSNSアカウント特定を調査会社に依頼する場合、事前に同意を得る必要がある。また、企業側が調査の結果、応募者の政治思想などを理由に不採用としたことが発覚すれば、問題になるだろう」と懸念を示す。

 厚生労働省の採用選考のガイドラインでは、応募者への身元調査では偏見や風評に基づいた情報が集まるリスクもあり、結果として就職差別につながる可能性があると指摘している。

 SNSの言動が炎上するリスクは社会人にもある。特定の企業や業界の立場を名乗るアカウントは実名、匿名を問わず珍しくないが、気を付けるポイントはどこか。

 前出の高橋氏は、「公開情報や確かな根拠に基づいて、企業や業界についてネガティブな意見を表明することは自由だが、臆測に基づいた評価は名誉毀損(きそん)や侮辱に相当する恐れもある。企業が情報開示請求を行って発信元が社員だと分かれば社内処分や法的措置を検討するだろう。転職サイトの口コミでも同様だ」と語る。

 匿名でも投稿は慎重になるに越したことはない。

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