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» 2020年09月24日 07時00分 公開

「フォロワーが40人もいる」ツイートが18万いいね 老舗醤油メーカーに起きた奇跡

老舗しょうゆメーカーがTwitterでつぶやいた「上司と同僚がフォロワーが『40人もいてめっちゃバズってるじゃん』と言っていた」というツイートが話題だ。その後、フォロワー数は9万人に激増。商品も在庫切れになるほど売れるなど、奇跡が起きた。

[産経新聞]
産経新聞

 山陰地方の老舗しょうゆメーカーの社員が短文投稿サイト「Twitter」でつぶやいた内容が「ほんわかした」と共感を呼んでいる。同社の公式Twitterのフォロワー(登録者)数が5人だったのが40人に増えたことについて「上司と同僚が『メッチャバズってる』と言ってくれた」と喜んだのだ。インフルエンサーなどインターネットでの影響力の大きさが重要視されている昨今、公式Twitter担当としての苦労もしのばれる投稿で、瞬く間に拡散されてフォロワー数が9万人に。同社商品への注文も殺到し、商品が完売する“奇跡”が起きた。

photo 話題になった「やすもと醤油」のTwitterの投稿

18万「いいね」

 話題となったのは、「やすもと醤油(しょうゆ)」を製造・販売する松江市の老舗しょうゆメーカー「安本産業」の公式Twitter。8月26日、入社6年目の30代男性社員がつぶやいた。

 「(一応)企業アカウントなので成果がないとTwitterを辞めさせられてしまう厳しい世界です」としたうえで、こうつづった。

 「アカウントを見た上司と同僚が『フォロワーが40人もいて、いいねもたくさんついててメッチャバズってるじゃん!』と言っていました。当分の間は大丈夫そうです」

 「バズる」はネット上で話題になることの意味。この投稿を見つけた人たちから、同社の公式Twitterに「ほんわかする会社」「頑張ってください」などと応援する投稿が相次いだ。社員の投稿に対して賛同を示す「いいね」は18万件を超え、公式Twitterのフォロワー数も40人だったのが一気に9万人に激増。同社のテーマソングを作る熱心な応援もあった。

「時間が取れそう」と担当に

 同社の創業は1885年。大政奉還で職を失った6代目当主が「安本醤油店」を開業した。その後、株式会社化するなど事業を拡大。近年は「薫製しょうゆ」や「薫製ドレッシング」の販売にも力を入れている。

 そんな同社も2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが落ち込んだ。5月、社内の会議で対策を話し合っていたときに出てきたのが、Webサイトの刷新と公式Twitterの開設だった。

photo 安本産業の店舗=9月、松江市

 社員は当時9人。いずれもTwitterの経験がなかった。白羽の矢が立ったのは、「作業の合間に時間が取れそう」という、製造と営業を兼務する30代男性だった。

 それまで男性はTwitterをしていなかったが、6月に公式Twitterを開設。1日に1回程度のペースで、「明日は人気ナンバーワン(※当社比)のくんせいナッツドレッシングの製造です。気合入れて作りますよー」「今日はなんとウルトラマンの日だそうですよ!!子供の頃から大好きで、今でも自分のスーパーヒーローです」など、自社製品の紹介や日常生活をつぶやいた。 

photo 公式Twitterを担当する男性社員=9月、松江市の安本産業

フォロワー急増に「壊れた?!」

 開設から約2カ月。8月上旬に5人だった登録者は男性の奮闘もあり同26日には40人になった。そのことを上司らにほめられ、「僕のなかでは奇跡的な数だった。うれしくて」(男性)と同日、冒頭のようにつぶやいた。

 そして翌27日。男性が昼前に公式Twitterを見ると、登録者数が80人に倍増していた。昼の休憩を終えた午後1時過ぎには800人を突破、その後もすさまじい勢いで増えていった。あまりの事態に男性は「やばいことになった。Twitterが壊れた」と思ったという。

 と同時に、投稿をみたり話題になっていることを知ったりした一般の人や小売店から「応援したい」と注文の電話がひっきりなしに鳴り、会社中大騒ぎになったという。会社の公式サイトを通じた商品購入の注文も、1日1件ほどだったのが2日間で計約600件。在庫が底をつき、製造が追い付かない状態になった。

 この出来事はネット上で「現代のシンデレラストーリー」「奇跡」などと話題になった。あまりの注目ぶりに男性は「怖くなって、何を書けばいいか分からなくなった」と思ったが、すぐに「今まで通りやろう」と吹っ切れ、今も仕事の合間にマイペースで投稿を続行している。

 「顔も知らない人が応援してくれた。Twitterのすごさと温かさを感じた」と男性。「これからも素直な気持ちで書いていきたい」と話している。

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