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» 2020年10月05日 07時00分 公開

原敬100回忌、AIで声の再現に取り組む 11月完成予定

2020年は第19代内閣総理大臣、原敬の100回忌にあたる年だ。この節目に原敬の声をAIで再現する作業が進められている。写真から推定した骨格や、養子の著書にある「声が小さい」といった記述を基に音声を再現して合成する。

[産経新聞]
産経新聞

 「平民宰相」として国民に親しまれた第19代内閣総理大臣、原敬(はら・たかし)(1856−1921)が東京駅で凶刃に倒れてから数えて2020年は100回忌。この節目に原敬の声を再現する作業が進められている。11月には出身地の盛岡市本宮の生家に隣接する原敬記念館に“平民宰相”が来館者に話しかけるディスプレイが登場する見込みだ。

photo 首相就任時の大礼服姿の原敬(原敬記念館提供)

骨格と著書から

 この声の再現は「原敬100回忌記念事業実行委員会」(委員長・谷藤裕明市長)が企画した記念事業の目玉の一つ。AI(人工知能)が専門の岩手県立大学ソフトウエア情報学部、榑松理樹(くれまつ・まさき)准教授(52)が2年がかりで取り組んできた。

 原の骨格が分かる写真をはじめ、養子の原奎一郎の著書「ふだん着の原敬」にある“声が小さい”“ゆっくりとしゃべる”“抑揚が少ない”といったその話し方の特徴などをもとにしてAIに原の声を再現させようという計画だ。

 AIのプログラミングを進めている榑松准教授によると「11月中には間に合う見込み」ということで、原敬記念館では新たに胸像と再現した声に合わせて口元が動くディスプレイを設置して、来館者に公開することにしている。

 実行委の事務局が置かれている原敬記念館の山内昭館長は「原敬さんの映像は残っているものの、音声は現存していない。再現できれば日本で初めて。大変貴重な資料になる。ぜひ、全国の皆さんにも聞いて頂きたい」と大きな期待を寄せている。

エピソード交え

 原敬記念館は盛岡市広聴広報課と「もっと知りたくなる原敬」の特集も制作、広報もりおか9月1日号に掲載した。半年がかりの力作で、エピソードを交え原の人となりが分かりやすい内容になっている。

 例えば、原敬は本名「はらたかし」だが愛称の「はらけい」も原敬記念館と原敬日記の名称に使われていること、有名私大の早稲田や慶応が大学に昇格できたのは高等教育機関の充実を図った原内閣の教育改革の一環だったこと、おしゃれで、1921年11月4日に東京駅で凶刃に倒れた際にはピンクの縦じまのシャツを着ていたことなどだ。市の公式Webサイトでも公開している。

photo 東京駅で凶刃に倒れたときの着衣、ピンク色の縦じまのシャツには血痕が(原敬記念館提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、記念事業の多くが21年以降に延期を余儀なくされた。11月4日に菩提(ぼだい)寺の大慈寺(盛岡市)で開かれる第100回原敬忌追悼会も感染防止のため大幅に規模を縮小する。

 しかし、21年7月以降に延期された同記念館の100回忌特別企画展では、自民党本部(東京都千代田区)の幹事長室に飾られている原敬直筆の揮毫(きごう)「宝積(ほうじゃく)」が展示される他、京都在住の遺族からも貴重な遺品類が公開される見通し。「宝積」は、人に尽くして見返りを求めないという意味で、原の座右の銘だ。

photo 岐阜市玉井屋旅館玄関で撮影された生前最後の写真(原敬記念館提供)

 7年8カ月続いた最長の安倍晋三政権に代わり菅義偉政権が誕生した。秋田県出身の菅首相は原と同じ東北人。しかも、ともに実力で上り詰めた。原の没後100年になる21年にかけて、藩閥政治から政党政治の道を切り開いた「原敬」に改めて注目が集まりそうだ。

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