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» 2020年10月09日 07時00分 公開

強豪大学サッカー部でも……SNSで若者に広がる大麻汚染

SNSの普及で、若者の大麻使用者が増加している。摘発者数は2019年に過去最多となり、20代以下は15年の2.5倍、大学生以下は4〜5倍に増えており、専門家は「健康被害や禁止の理由、使用した際のリスクを納得できるよう説明すべき」と指摘する。

[産経新聞]
産経新聞

 大学サッカーの強豪、近畿大(大阪府東大阪市)の男子部員5人が大麻を使用していたことが発覚した。若年層の大麻汚染は深刻化しており、近大は薬物の危険性を教える講義を開くなど対策を進めていたが、防ぎきれなかった。会員制交流サイト(SNS)には大麻の興味をそそるような投稿があふれており、部員は実際にSNSで簡単に入手していた。専門家は「根拠のない話に惑わされないよう、正しい情報の発信強化が必要」としている。

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軽い気持ちで……

 「興味本位でやった」「たばこ感覚だった」

 近大によると、使用を認めたサッカー部員は、大麻に手を出した理由をこう話したという。使用が発覚したのは、未成年者を含む2〜4年の男子部員5人。2019年10月から20年5月にかけて、多い部員で5〜6回吸っていた。

 軽い気持ちで違法薬物に手を染めた代償は大きい。大学は大阪府警に連絡し、サッカー部を今月1日から無期限活動停止に。所属する関西学生サッカーリーグは新型コロナウイルスの影響で前期のリーグ戦が中止となり、9月から後期のリーグ戦が始まった直後だったが、残り8試合については出場を辞退した。

 結果的に4年生の部員は、大学最後の年にリーグ戦にほとんど参加できない形に。チームメートの大麻使用を知って泣き崩れた選手もいたという。

止まらぬ“汚染”

 警察庁によると、19年の大麻取締法違反容疑での摘発者は過去最多の4321人で、15年の2101人から倍増。20代以下は、1034人から2559人と約2.5倍となった。中でも高校生と大学生の摘発者は、それぞれ4〜5倍に急増している。

 20年に入っても増加傾向は続き、上半期(1〜6月)の摘発者は2261人と前年同期比で183人増加し、うち約7割が20代以下。大学生は116人で、前年の60人から倍増した。

 背景にあるのは、TwitterなどSNSの存在だ。大麻を吸えば記憶障害や幻覚・妄想を招き、依存症に陥る可能性もあるが、「大麻は依存しない」などと危険性を軽視する書き込みや、「やさい」「88(はっぱ)」といった隠語を使って使用者を募る投稿があふれている。

 関西の4私立大(関関同立)が19年、新入生約2万3000人を対象にとったアンケートでは、約55%の学生が薬物について「手に入る」「難しいが手に入る」と回答。理由については「インターネットなどで探せば見つかる」が約85%を占めた。

 近大の問題でも、部員はSNSを通じて売人から購入したり、ミナミのクラブで知り合った人から譲り受けたりして、簡単に入手していた。

「納得できる説明」を

 学生に薬物の危険性を理解してもらうため、各警察本部は高校や大学で警察官による講習を定期的に開催している。

 近大でも13年からほぼ毎年、大阪府警の警察官らを招き、学生や指導者に対する研修会を行っていたが、学生間に危機意識が浸透しきれていなかったことが明らかとなった。近大は今回の問題を受け、全学生約3万3000人を対象に薬物使用に関する実態を調査する。

 甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「インターネットではさまざまな情報が錯綜(さくそう)している。ただ『ダメ』というだけではなく、詳しい健康被害や禁止されている理由、摘発されればどれほど大きなものを失うか、納得できるように説明すべきだ」としている。

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