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» 2020年10月14日 07時00分 公開

行政デジタル化、浸透の鍵はユーザーインタフェース (1/2)

菅義偉首相が、行政手続きでの押印の原則廃止を進めている。デジタル化を進める上で重要なのは、情報の表示の仕方や必要な情報を探す操作方法といった「ユーザーインタフェース」の改善だ。

[産経新聞]
産経新聞

 菅義偉(すがよしひで)首相が、行政手続きでの押印の原則廃止を進めている。はんこは、署名の手間を省く便利な道具として普及した。押印をデジタル化できるかも、人々が使いやすさを感じられるかにかかっている。新型コロナウイルス対策の給付金支払いを巡る混乱で露呈したのは、デジタル化の遅れだけではない。単にサービスをオンラインで提供するだけではなく、情報の表示の仕方や必要な情報を探す操作方法といった「ユーザーインタフェース(UI)」を重視した利用者目線が不可欠だ。

photo デジタル改革関連法案準備室の立ち上げ式で、記念撮影の中央の位置を平井卓也デジタル改革担当相(左)に譲る菅義偉首相=9月30日、東京都港区(代表撮影)

 「(求められているのは)まずUIを徹底的によくしろということだ」。平井卓也デジタル改革担当相は就任翌日の会見で、新設するデジタル庁の方針について聞かれ、こう強調した。

 UIとは、サービスを受ける際に、利用者が実際に目で見て、手で操作して、情報をやりとりする接点のことだ。PCでインターネットをする際には、画面に表示されるWebサイトや操作をするためのマウスやキーボードなども、UIの一つといえる。

 スマートフォンが日常生活の必需品になり、毎日のように新たなアプリが誕生しては消えていくようになったが、アプリの人気を大きく左右するのもUIだ。操作と表示を兼ねる手のひらサイズの小さなタッチパネルに分かりやすさを突き詰められるか。IT各社は、利用者が簡単で便利だと感じるUIを磨き上げることに心血を注いでいる。

お粗末オンライン

 「いまひとつイケてなかったので急いで改修を指示した」。平井氏は6日の会見で、政府のデジタル政策に関する意見を幅広い層から募集する「アイデアボックス」の公開について、スマホ版はUIを改善するため、9日公開のWeb版より、1週間程度開始が遅れる見通しを明らかにした。開始を遅らせてまでUIにこだわる方針は、政府のデジタル化への本気度の裏返しともいえる。

 これまでのオンライン行政は、利用者目線を欠いたUIでお粗末な結果を繰り返してきた。5月から始まった10万円の特別定額給付金申請では、オンライン申請でトラブルが続出した。PCの申請では、マイナンバーカードの情報を読み取るカードリーダーが必要で、スマホでの手続きでも一部の機種に限られるなど、ハードルが高かったためだ。

 マイナンバーカードの暗証番号を覚えていないと、役場の窓口に出向く必要があり、コロナ禍で密集を避けるためのオンライン申請が、役場の大混雑の原因になるという皮肉な結果も招いた。総務省によると、給付済みの約6000万世帯のうち、オンライン申請は約200万件(5日現在)にとどまった。

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