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» 2020年10月15日 07時00分 公開

武田総務相インタビュー詳報「流れができれば携帯電話の乗り換え競争始まる」

武田良太総務相が、携帯電話料金の値下げについて、大手携帯各社に「諸外国に対して遜色ない水準」の実現を求めたことを明らかにした。具体的な引き下げ率は明示せず、市場競争を行う中で経営者が判断するべきとしている。

[産経新聞]
産経新聞

 武田良太総務相は13日、産経新聞のインタビューに応じ、菅義偉内閣が掲げる携帯電話料金の値下げについて、大手携帯各社に「諸外国に対して遜色ない水準」の実現を求めたことを明らかにした。また、NHKの受信料引き下げを、NHK会長らに直接要請していたことも判明した。インタビューでの主なやりとりは以下の通り。

photo インタビューに応じる武田良太総務相=13日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)

菅政権

 ――菅政権になり、どんな違いを感じるか。

 「首相自身が総務相や官房長官のときの、いろんな思いを一個一個、実現に向けてアクセルを踏んだところは感じている」

 ――首相が一番やりたかった政策を任されるに当たり、どんな言葉をかけられたか。

 「どうこうせよという細かい指示をする人ではない。しっかりとした認識を持ち、方向性も明確に示され、きちっとした結果を出すことを非常に重要視するリーダー。やれるだけやってみようというのではなくて、結論を出そうとターゲットを決めて取り掛かっていかなくてはならない」

携帯電話料金

 ――大手携帯電話会社(キャリア)にどのような働きかけを行ったのか

 「一番言いたかったのは新型コロナウイルス禍における家計負担を軽減するということ。国民の公共財産を使ったサービス業者に何ができるか考えていただきたいと。もう一つは、大手3社による寡占状況は異常であるということ。新規参入しにくい状況により、安定的な高値を維持できるわけだから。公正な市場競争が働く環境にないなら、作っていくのは当然のこと」

 「コロナ禍での家計負担軽減というのは、(対応が)1カ月遅れるごとに負担が増えていく。スピード感を持って対処して頂きたいと要請した。われわれの言い方としては『諸外国に対して遜色ない水準』。国際水準というのはむしろ当然のことと私は思う」

 ――菅内閣発足から1カ月でキャリア3社がそろって値下げの意向を示しているのはなぜか

 「やっぱり首相を始め、われわれの覚悟、コロナ対策に対する覚悟が伝わったんじゃないか」

 ――MVNO(格安携帯会社)への乗り換えはまだまだ途上だ。いかにして増やしていくか。

 「利用者が自由に選択できる環境を作り上げていくことが健全な競争につながっていく。利用者の意見を聞いたところ、料金システムがきちんと理解されていない。求めていない料金プランに入ったり、必要以上のデータ容量を設定されたりしており、不透明な部分がかなりある。分かりやすいシステムを事業者が作り上げていくことは大事。それが納得できる料金設定につながっていく」

 ――どう実現するのか

 「絶対的な状況として乗り換えが面倒ということもある。いろんなペナルティー(違約金)があるし、他社へ乗り換えるならサービスしないよ、とか。いろんな手口で(ユーザーを)引っ張ってきたわけだから、そういうことはやめて。分かりやすさ、簡単さをもっと制度的に実行していかなければいけない。面倒くさい、(他社への)行き方が分からない、(今のキャリアから)囲い込みに遭っている。いろいろある障害を取っ払って、安いコースがあることを周知徹底すれば新たな競争が生まれる」

 ――事業者が努力するのか、仕組みとして取り組むのか

 「制度もそうだし、事業者の努力は当然出てくる。こういうのはきっかけと流れができれば競争しだす。乗り換え競争が始まる」

 ――投資を促進することでキャリアの国際競争力を維持する方策は。

 「とにかくわが国は国際展開の中で相当出遅れてるといわれている。少なくとも2030年の6G(次世代移動通信分野)のころには『日本も出てきた』といわれるぐらいの状況を作っていかないと。官民学金、全てが一体となって総力戦で臨んでいかないと」

 ――5G開発のときは東日本大震災後と同規模の35%減税をした。同じ規模感での減税対策が必要か

 「減税のみじゃなくて支援策はいろいろと複雑に考えないと。どうテコ入れをするか見極めて、資源を分散するんじゃなくて集中投下する必要がある」

 ――首相は目標として4割値下げを掲げるが、同じイメージを持っているか。

 「民間企業に対してわれわれがそういうこと(期限や目標数値)を言うべきではない。控えさせてもらいたい。国際水準ということになれば、おのずとどれぐらいということを弾ける。それぞれの事業者に委ねたい」

 「高く据え置きたいところがあれば据え置いてもいいが、競争に負ける。(負けないよう)安くした分、投資ができなければ、将来展望が開けない。だから、経営者判断でどうかじを取るかという事業者の問題」

 ――これまで事業者に判断を任せてうまく進まなかった。スピード感も大事だが、もう一押しできる策はないのか

 「やっぱり本当に競争する気がなかったら、競争させる環境を思い切ってつくればいい。あくまでも事業者の実践に委ねるべきと思って言っているだけであって。このまま寡占状態を維持して、コロナ対策にも寄与しないとなれば、どんどん新規参入者が参画できるような環境を作り上げていけばいいだけ」

NHK

 ――受信料の適正価格化などNHKについての考えは

 「動画配信サービスが次々と出てきている中で、これらと比して、なぜNHKは高いのかという意見は国民に根強くある。家計負担を考えたときには、経営努力によって抑えられるように営業経費にしても、チャンネル数にしても、NHKの努力で減量経営をしながら国民の期待に納得していただけるようにやっていくべきじゃないか」

 ――そういう努力を大臣として求めていく

 「もう明確に森下俊三経営委員長にも、前田晃伸NHK会長にも私から申し上げた」

 ――それに対する答えは

 「指摘を重く受け止めて自分たちでどういう企業改革ができるか具体的に示していきたいと。今の時代、公共性の高いものについて国民意識を敏感に感じなきゃ駄目だ。旧態依然のままでやっていくのなら、事業本体が崩れてくることに発展しかねない」

 「コロナ禍における家計負担を考えたときに国民のためにできることを考えていただきたい。総務相というより政治家として当たり前。全産業でできることをしながら地域経済再生を果たしていかなきゃ駄目だ。全家庭から景気の底上げをやって経済活性化させないと。可処分所得が上がるよう協力する環境を作り上げていく」

 ――具体的にいつまでに具体策を示す

 「NHKは中期経営計画の検討過程で、いろいろな改革案を示すのだろう」

(聞き手 政治部 大島悠亮、市岡豊大、経済部 蕎麦谷里志)

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